「エンジョイ・ベースボール」は“高校野球を変えたのか”問題　あの“旋風”から2年…甲子園は出られずとも関係者が「慶応はスゴい」と語るワケは？

　2023年夏、慶応高は夏の甲子園大会で、107年ぶりの優勝を飾った。

　その年の慶応高は、春のセンバツ大会にも出場して、「甲子園」より過酷とも評される夏の神奈川大会でも有力優勝候補と目されながら、特にそれを重荷にするような気配もなく快進撃を続けて勝ち進んだ。

　一方で、その後は甲子園で慶応高の姿を見ることなく2年の歳月が経った。

ADVERTISEMENT

　果たして現在、彼らのモットーだった「エンジョイ・ベースボール」は、高校野球をどう変えたのだろうか？

慶応高の環境…「トップに居続けるのはムリ」

　大方の神奈川の指導者の方たちには、「よそさまのことを、ウチなんかがとやかく言えませんよ」と尻込みされてしまったが、そりゃあそうだろう。こちらの考えが浅かった。

　なので、高校野球に関わっている方たちに、手当たり次第に訊いてみた。

「そもそも、慶応高みたいな環境の高校が、高校野球のトップグループに居続けること自体、ムリでしょう」

2年前の夏、107年ぶりの甲子園優勝を果たした慶応ナイン　©Naoya Sanuki

　お隣、東京都で長く指導者をつとめる監督さん（教員）の「見解」は明快だった。

「上の大学に全員進学の超難関校ですよ。いくら推薦入学の枠があったって、そのボーダーラインが他校よりずっと高いのも聞いてます。日本じゅう探せばいるんだと思いますよ、野球と勉学と両方優秀な二刀流っていうのも。でも、実際問題として、そういう生徒を毎年毎年、一定数集めるのはちょっとムリでしょう」

【次ページ】　入学後に求められる「ハイレベルな文武両道」