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卓球・張本智和が異例の表明「選手に配慮があるリーグであってほしい」“独自ルール問題”最大の論点とは? SNSの言葉に表れた“いら立ち”の背景
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松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byJIJI PRESS
posted2025/08/06 11:01
SNSでTリーグに対する思いを吐露した張本智和(写真は今年1月の全日本卓球)
“独自ルール”問題には伊藤美誠も苦しんだ過去が…
ただ、強化という観点から見れば張本のような疑問が出てくる余地がある。さらには、Tリーグの成績をパリ五輪代表選考のためのポイント対象に組み込んでいたことへの違和感も思い起こされる。Tリーグが採用するルールの独自性を考えると、織り込むべきではなかったのではないか、という見方があるのは事実だ。
もう一つ思い出すのは、昨年3月、Tリーグプレーオフの準決勝を日本生命の一員であった伊藤美誠が欠場したことだ。
伊藤はプレーオフの後に国際大会のWTTチャンピオンズ仁川を控えており、世界ランキングを上げるためにも大切に考えている大会だった。スケジュールが近いこともあり、調整を考慮しての判断だったが、さらに、ボールに慣れるには時間がかかることを理由にあげていた。どういうことかというと、国際大会とTリーグで使用しているボールが異なっているからだ。独自ルールをはじめ、Tリーグと国際大会との違いに選手が苦しんだ一例と言えるかもしれない。
張本本人が意見表明した“大きな意味”
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卓球の日本での基盤を強くするためにも、リーグの発展は大きな意味を持つ。しかし、リーグを成功させようと試行錯誤した末に生み出された独自のルールに対し、張本のように世界のトップで戦う中で、違和感を持つ選手がいるのも不思議はない。一方で、Tリーグを主戦場とし、そこに懸けている選手がいれば、異なる意見を持っていることも十分考えられる。
それぞれに異なる見解もあるであろう中、率直に張本が意見を表明したことは大きな意味がある。真摯に受け止めつつ、リーグの今後のためにはどうあるのがよいか、考えていく必要がある。今回の言葉は、その契機となるはずだ。
