酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「極論だと“夏実施をやめる”となりますが」酷暑の高校野球…高野連が悩む現場のリアル「地方大会は冷風機、扇風機の取り合いになるようで」
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広尾晃Kou Hiroo
photograph byJIJI PRESS
posted2025/08/05 06:02
2023年夏の甲子園で、チームメートの首を冷やす慶応の清原勝児(当時)
「球場によっては照明がなくて、ナイトゲームができないところがあります。そういうところでは遅くとも17時半くらいに試合を終えないといけなかったりする。また運営する人の配置や、審判の事情などで、開始時間を動かしたくてもできない連盟も結構あるようです。そんな中で工夫をしていただいています。富山大会は今年、9時と15時の試合開始になりました。
全国的に一日2試合が基本で、3試合する日程は、少なくなっていると思いますが、各都道府県でできる暑さ対策を精いっぱいやってもらっています。私どもは、それをできる限り支援している状況ですね」
筆者は今年も、各地の地方大会を回って試合を観戦している。昨年であれば、7月上旬はまだしのぎやすかったのだが、今年はすでに凶暴な暑さだった。高校野球を巡る環境は、毎年確実に厳しくなってきている印象だ。日本高野連も都道府県高野連も「夏の高校野球」を維持するために、必死に対策を練っている。
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ただ、地球温暖化が今後も進行するとすれば、高校野球は次の段階に進まざるを得ない。井本事務局長の口ぶりからは「思い切った手を打つことも含め、あらゆる手段を考える」という強い意志が感じられた。
賛否両論の「7回制」については?
その酷暑対策に関連して高校野球ファンの中で賛否が起きているのが「7回制」である。先日、日本高野連が実施したアンケートの文面は、どのようなものだったか。〈つづく〉

