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「カーリング選手で大学生で人妻に」4度目の五輪挑戦…吉田知那美(34歳)が明かすカーリングへの思い「流しのコーチっていいかも…押しかけ先生みたいな」
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竹田聡一郎Soichiro Takeda
photograph bySoichiro Takeda
posted2025/08/23 11:01
4度目の五輪出場を目指すロコ・ソラーレの吉田知那美(34歳)がカーリングへの思いと将来の展望を明かした
「カーリングは続けたいけれど、自由契約になったくせに氷の上に立っている姿を誰かに見られるのが恥ずかしかった」と人のいない平日午後などを選んでひとりきりの練習に時間を費やした。
「自分の意思とは別にチームを離れることになって『私がいるこの世界は自分の意思だけじゃどうにもならないんだな』と思い知らされました。『どこでプレーしたい』は叶わないという事実を22歳の時に経験したからこそ、限られた時間の中で自分が選択してきたものを抱えていたら、今はカーリング選手で大学生で人妻になっていました」
世界に挑む現役のカーラーでありながら、31歳の誕生日に結婚。2022年からは大学生としてオンライン中心に心理学などの講義を受けている。今季は五輪シーズンということもあり休学中だが、果たしてセカンドキャリアへの準備なのか。その質問については「そんなんじゃないです」と即答。
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「いつか大学に行って勉強したかっただけです。高校3年生の時に母に大学進学を勧められたのですが、私は10代特有の反骨的な気持ちもあり留学を選んだので、人生で学びたいことができた時に自分のお金で大学生になろうって決めていたんです」
この「いつかやってみたい」「なろうと決めていた」こそが変わらぬ吉田の原動力だ。一方で、自身について変わったものはあるのだろうか。
「自分じゃない誰かに視点を向けた時に、すごく時間の流れを感じるようになった」
例えば若手の台頭がある。今年の日本選手権、吉田擁するロコ・ソラーレは3位に終わった。黒星を喫した唯一のチームが北海道銀行だったが、チームの平均年齢は22歳。9月に稚内で行われる五輪代表候補決定戦を戦うチームのひとつ、SC軽井沢クラブの上野美優・結生姉妹も同世代だ。それぞれ「ロコ・ソラーレさんの活躍をテレビで見た」と語ったことがあるが、平昌五輪の頃は彼女たちはまだ10代半ばだった。その後進が駆け上がってきている。
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カーリングという競技そのものも然りだ。五輪を経るごとに国内では人気競技になっていったが、吉田の初出場2014年ソチ五輪や、さらに前のバンクーバー五輪の時ですら、選手に「あなたはストーンを投げる人? それともブラシで掃く人?」と聞く人がいた。

