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「カーリング選手で大学生で人妻に」4度目の五輪挑戦…吉田知那美(34歳)が明かすカーリングへの思い「流しのコーチっていいかも…押しかけ先生みたいな」
posted2025/08/23 11:01
4度目の五輪出場を目指すロコ・ソラーレの吉田知那美(34歳)がカーリングへの思いと将来の展望を明かした
text by

竹田聡一郎Soichiro Takeda
photograph by
Soichiro Takeda
カーリングを続けることができているのは「誇らしい気持ち」
「セミとかヘビみたいで」
吉田知那美は笑顔ではあったが、声色は真剣だった。ミラノ・コルティナ冬季オリンピックを迎える今シーズン前の会見後だ。記者に「過去の五輪では泣いたり笑ったり喜怒哀楽を全部表現してきたように思えるが、当時の映像を見て恥ずかしかったり照れ臭かったりはするのか」という趣旨の質問が飛んだ。
例えば初出場だったソチ大会では試合前に、父・修一さんに向けて中継カメラ越しに「ちちー、頑張るよー」とメッセージを送った。平昌五輪では流行語大賞に選ばれた「そだねー」を何度もお茶の間に届けた。4年前の北京五輪では、ラウンドロビン最終戦の敗北で敗退が決まったものだと思い込んでいたが、テレビ取材中に他国の結果により準決勝進出の朗報が入り、それを聞き泣いて笑って忙しい会見となった。
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「ちょうど最近、過去の映像を見る機会があったのですが、あれは私の抜け殻のようなものだと思っています。中身の自分はそこからまたいろんなことを経験して別のものになっているので、(過去の映像を)見て恥ずかしいとは感じません。むしろ愛着があって、映像を見るとその時の感覚をしっかり思い出せる。『結構頑張ってたね』『そうだよね、そりゃ泣いちゃうよね』みたいに声をかけたくなります」
抜け殻をいくつか経て、吉田は7月26日の誕生日で34歳を迎えた。
「あの頃に自分が想像していた30代ってもっとちゃんと年齢と経験を重ねた大人だと思っていたんですけれど、全然そんなこともなくて。30代って意外と若いんだなと感じる部分もあるし、まだまだその先もあるんだなと知りました。でも競技でいえば、30歳を超えてお給料をいただいてカーリングができているセミプロみたいな選手って今はまだ数えられるくらいですので、ここまでカーリングを続けることができているのは誇らしい気持ちです」
今はカーリング選手で大学生で人妻に
ソチ五輪は21歳での出場だった。そしてそのソチ五輪後に当時所属していた北海道銀行からは戦力外通告を受けた。彼女は22歳を目前にした夏、カーリングを続けたくてもプレーできるチームがなかった。

