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「カーリング選手で大学生で人妻に」4度目の五輪挑戦…吉田知那美(34歳)が明かすカーリングへの思い「流しのコーチっていいかも…押しかけ先生みたいな」 

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竹田聡一郎

竹田聡一郎Soichiro Takeda

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posted2025/08/23 11:01

「カーリング選手で大学生で人妻に」4度目の五輪挑戦…吉田知那美(34歳)が明かすカーリングへの思い「流しのコーチっていいかも…押しかけ先生みたいな」<Number Web> photograph by Soichiro Takeda

4度目の五輪出場を目指すロコ・ソラーレの吉田知那美(34歳)がカーリングへの思いと将来の展望を明かした

 それが十数年で成長してきた。「カーリングって何?」という知識ゼロの人はほとんどいないだろう。今年はついに日本選手権が初の首都圏開催(横浜BUNTAI)となり、チケットは完売。7月には札幌(どうぎんカーリングスタジアム)でオールスターゲームも行われた。

 国内だけではなく世界でも大きな動きがある。

 カナダのスポーツ興行会社The Curling Groupは今年、新リーグ「Rock League」の新設を宣言。選手個人単位で参加する地域対抗のリーグ戦で、吉田はアジア代表キャプテンに任命されている。

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 具体的なレギュレーションはまだ発表されていないが、吉田はこの新リーグへの参加も含めて近年「主語をカーリングにして考えること」を意識して自身と競技の未来を思い描いてきた。これまでは「強い選手になりたい」「グランドスラムで勝ってみたい」「オリンピックでどんな感情になるのか知りたい」といったアスリート、あるいはカーラーとしての欲が彼女を突き動かしてきたが、視点や主語を変え自身の経験と照らし合わせてみたら、自身のやりたいこと、やるべきことの輪郭が見えてきた。

「私はすごくラッキーなことに、カーリングを通して本当にたくさんの経験を積ませてもらっています。その経験を通して実際に得た感覚としては、世界選手権も五輪も見ていたものと経験したものとでは、当たり前かもしれないけれど、全然違うということ。だからこそ、行った人、経験した人しか語れないことがある。そう思っています。今後、日本からはまた多くの若い選手が世界に出ていくはずです。世界の舞台に向けてどう準備するかの正解は一つではなく、事前準備の方法はチームの数だけあるはず。でも、最低限の情報、初めてでも事前に絶対に知っておいたほうがいい要素はある。それは私も『もったいなかったな』と悔やむ部分があるから、五輪のメダルまでの到達方法、グランドスラム優勝までの事前準備などは、決して独り占めしないようにいつかは(後輩に)伝えていきたい」

指導者としてカーリングに携わる意思は?

 では具体的には将来、指導者としてカーリングに携わっていく意思があるのか? 吉田は2022年に日本スポーツ協会認定の「カーリングコーチ1」を取得している。極端な話、求められれば明日にでも指導者としてのキャリアをスタートさせることはできる。経験という意味では、ロコ・ソラーレの4人は世界選手権、五輪、W杯、コンチネンタルカップ、グランドスラムと、カーリングの世界最大規模のイベントにすべて出場している稀有なグループではある。引き出しは多いだろう。

「でも、私はまだ伝える能力が本当に低い。だから、今は勝手に考えているだけなんですけれど、私もいつか修業したくて。最近、JDが2013年に日本に来た頃をよく思い出すんです」

【次ページ】 「流しのカーリングコーチ」はいいかも

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