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「簡単でないことはわかっています」カーリング吉田知那美(34歳)が語る“4度目の五輪挑戦”「4年に一度注目してもらえるって、とんでもなくポジティブ」
posted2025/08/23 11:00
カーリングで五輪2大会連続メダルを獲得したロコ・ソラーレの吉田知那美(34歳)が4度目の五輪挑戦について語った
text by

竹田聡一郎Soichiro Takeda
photograph by
Soichiro Takeda
4度目の五輪挑戦
吉田知那美にとって4度目の五輪挑戦が始まる。
1度目の五輪は「歩ちゃんと弓枝ちゃんに連れていってもらった」と本人が振り返る2014年のソチ大会だ。歩ちゃんとは現在、日本カーリング協会理事で強化を担当をする小笠原歩。弓枝ちゃんとは現在、フォルティウスのコーチを務める船山弓枝。それぞれ五輪に3度出場した女子カーリングのパイオニアだ。そのふたりに導かれ、吉田は21歳で五輪を初体験した。
2度目と3度目の五輪はロコ・ソラーレのメンバーとして出場した。日本カーリング史上初の五輪でのメダル獲得となった銅が2018年の平昌。2022年の北京では決勝に進み銀メダルを首にかけた。「次は金メダル」と期待するファンも多いだろう。
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だが、ロコ・ソラーレは2010年の結成以来、世界大会でメダルを獲得したのは五輪を除けば2016年のカナダ・スウィフトカレントで行われた世界選手権の1度のみ。世界選手権は2016年と2023年の2度出場しているが、2023年のスウェーデン・サンドビーケン大会では6位。世界に出れば必ずメダルというわけではない。世界の壁は高いと同時に、彼女たちの五輪での勝負強さが際立つ。
「それについてアリーナに質問されました」と吉田は教えてくれたことがある。
アリーナ・ペーツ。世界選手権4連覇、51連勝という途方もない記録を持つスイス代表のフォースに座る世界最強のフィニッシャーだ。
「チナミ、あなたたちのチームはなぜいつもオリンピックでピークを作れるの? 4年に一度のピーキングってどうやればいいの?」
「4年に一度注目してもらえるって、とんでもなくポジティブ」
世界ツアーの最上位タイトル、グランドスラム後にビールを飲みながらの話題であったこともあり「それを言うなら、あなたたちはどうやったら毎年、世界選手権であんなに勝てるの? と質問を返しておきました」と吉田は無邪気に笑ったのちに「でも、それについて自分なりに考えてみたんだけれど」と切り出した。何か浮かんだら納得するまで思考して、それを言語化する。彼女のこの特性はここ数年で顕著になった。

