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阪神はなぜ掛布雅之以降“高卒野手”が育たない? 名スカウトがため息「阪神の1位はしんどい…(大卒の)鳥谷敬のような強さは高校生には難しいよ」 

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喜瀬雅則

喜瀬雅則Masanori Kise

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posted2025/08/04 17:03

阪神はなぜ掛布雅之以降“高卒野手”が育たない? 名スカウトがため息「阪神の1位はしんどい…(大卒の)鳥谷敬のような強さは高校生には難しいよ」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

「ミスタータイガース」掛布雅之以来、高卒野手で掛布に迫る成長を見せた選手は現れていないのが実情だ

鳥谷の抜群の“心”

 その点で、抜群の“心”を持っていたのが、鳥谷敬だったと菊地は証言する。

 鳥谷敬は、早大2年春に東京六大学リーグの「三冠王」に輝いた。巨人をはじめ、全球団が注目した即戦力の遊撃手だ。獲得できれば、向こう10年は、ショートを心配しなくてもいいといわれるほどの素材だった。

 菊地は、毎日のように早大のグラウンドへ通った。しかし、本人との接触はできない。

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 通い続けることで、誠意をアピールすることも重要な任務だ。練習予定などを聞く窓口はマネジャーになるが、菊地はここをフル活用した。合宿所での鳥谷の様子を、連日のようにレポートしてもらったのだ。

 すると、日々のストイックな生活ぶりが手に取るように分かったという。

夜中の風呂場で……

 マネジャーによると、鳥谷はリーグ戦の試合に入る数日前になると、テレビも新聞も一切見ず、完全に自分の世界に入り込むのだという。

 夜中になると、なぜかしら、風呂場から音がする。

 気になって、マネジャーがこっそりと覗きに行くと、鳥谷が冷水シャワーを浴び、風呂につかり、また冷水、風呂、という繰り返しで、疲労回復に努めている姿があったという。

【次ページ】 阪神の環境で己を見失わないためには

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