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阪神ファンなら覚えておくべき「バースの再来」が100%期待外れに終わる理由「甲子園の浜風に苦しむ」「アリアスもマートンも…成功例は右打者」
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江本孟紀Takenori Emoto
photograph byJIJI PRESS
posted2025/07/22 17:01
阪神伝説の外国人助っ人バースだが……なぜ「バースの再来」はたびたび話題になってしまうのか
バース以降、さまざまな外国人打者が来日した。なかには走攻守ともにまったくダメだった者、かつては「神のお告げがあった」という信じられない理由から引退してしまった選手もいたし、矢野燿大監督になってからも「今日はやる気が出ない」と言って試合前に帰宅した選手もいた。
獲得するからには当然、走攻守のどれかがすぐれているからという理由はあるのだろうが、結果がまったく出ないと、「そら見たことか」などと白い目で見てしまう阪神ファン、さらに追い打ちをかけるように、まるでおもちゃを扱うかのように徹底的に重箱の隅をつつくマスコミ。これでは、どんなに実績を積んだ外国人選手でも通用するはずがない。それなら、まずは「阪神で活躍できる外国人打者」とはどんなタイプなのかを知っておいたほうがいい。私ならそう考える。
阪神で活躍する外国人の共通点とは
よくいわれる甲子園球場のライトからレフト方向に吹く「浜風」。これは内陸部の気温が高くなることで上昇気流が起こり、海側から内陸部に風が流れ込んでくる現象のことを指す。この風は梅雨時以降から夏場にかけて吹き、左打者にとってはライトに打球を打ったとしてもボールが押し戻された結果、外野フライで終わってしまうことが多い。つまり、夏の高校野球大会で甲子園球場を明け渡してしまう時期が、最も左打者が甲子園球場で本塁打が出ないことになる。
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「高校生は打っているじゃないか」という声も出てくるかと思うが、彼らはプロとは違い金属バットで打っている。多少芯を外してもパワーがあれば打球がフェンスオーバーしてしまう用具を使っている彼らにしてみれば、浜風云々はいっさい当てはまらない。ところが、春先や秋口などの寒い時期は、浜風の風向きは気温が下がるので違ってくる。阪神の応援歌にもある「六甲おろし」はもともと冬場に吹く風のことを指し、内陸部にある六甲山さんから海側に吹き下ろす強い風のことである。つまり夏場の暑い時期とは逆方向の風になるわけだ。
アリアスもマートンも「右打者」だった
そう考えていくと、左の強打者にとってハンディとなる風にはならない。だから「バースの再来」などではなく、「春先と秋口は甲子園でホームランをパカパカ打ってもらって、梅雨時期から夏場にかけて甲子園で打てないのはしゃあない」という割り切りも必要なのである。

