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阪神タイガース暗黒時代は“ゼニ勘定優先”「弱くてもお客さんは甲子園に来る」「たとえば契約更改…上から目線で」江本孟紀が見た“スーツ組”
posted2025/07/21 06:01

今も昔も盛況な阪神の本拠地・甲子園球場だが……江本孟紀氏が見た“当時の球団経営スタイル”とは
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江本孟紀Takenori Emoto
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なぜ、ブレイザーは頑として岡田を起用しなかったのか
「なぜ、岡田を使わないんだ。岡田を使わない理由があるのか」
こう言われたブレイザーは私に話してくれたことと同じ内容のことを小津正次郎球団社長に伝えた。しかし、小津球団社長は引き下がらない。
「どうしても岡田を使えないって言うんだな! だったら監督を辞めてくれたっていいんだぞ」
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この言葉を聞いたブレイザーも、ついに堪忍袋の緒が切れた。
「オッケー、そこまで言うのなら辞めさせていただきます」
こうして、ブレイザーの監督解任が決まった。このとき私は、「なんや、それは!?」と予想だにしない結末に脱力してしまったことを、いまでもよく覚えている。
ブレイザーには岡田を「こうやって育成していこう」というプランがあった。そのあいだは別の二塁手を起用し、岡田が一軍の戦力となりうると判断した時点でスタメンに名を連ねようと考えていたはずだ。
「二軍でたくましく成長した岡田」を待っていた
いまでも一部のプロ野球ファンの中には、甲子園や大学野球などのアマチュアで実績を残し、鳴り物入りで入団したにもかかわらず一軍に呼ばれない選手に対して、「一軍で起用して育てる気はないのか」と主張する人がいる。しかし、この考え方は間違っている。一軍はあくまでも「結果だけを残す場所」であって、「育成する場所」などではない。育成しろと言うのであれば、それは二軍で行えばいいだけの話なのだ。
二軍で実力をつけ、現場の首脳陣から評価され、一軍の監督に進言する。そうして一軍からお呼びがかかるのだが、それでも、いざ一軍の試合に出ても、すぐに結果を出せないなんてことはよくある話だ。