「岡林勇希と上林誠知を1・2番に並べたい」“じつは得点期待値を下げている”中日打線の問題点…井上監督の“謎采配”「6番・細川成也」はなぜ試された？ 

　直近の試合では4番に座ることが増えたとはいえ、チームで最上位クラスの打力を持つ細川を1～5番よりも優先度の低い6番で起用することは、セイバー的にはもちろんナンセンスだ。なぜ、このようなオーダーが試されたのか。市川氏は「NPBの打順の組み方には“ある傾向”が見られる」と指摘する。

「全体的に後ろ重心というか、それなりに打力のある打者を6番や7番に置きがちなんです。おそらく、伝統的にクリーンナップ（3～5番）から決めていく考え方があるからでしょう。そうなると当然、（強打者の）後に続く6番にチャンスが来やすくなる。つまり経験則からくる“6番が重要”という感覚は間違っていないと思うのですが、そもそも1番、2番にいい打者を置くことを徹底していないからこそ生まれる状況であり、考え方ではないかと推察します」

怪我から復帰し、調子を取り戻しつつある細川成也　©Hideki Sugiyama

「4番・石川」から感じた中日首脳陣の“意図”

　シーズン序盤、細川が5番もしくは6番で起用されている間に4番を担ったのは石川昂弥だった。しかし井上監督が期待をかける大砲候補は打率1割台前半に低迷し、現在は二軍で再調整を行っている。

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　結果を残せていない「4番・石川」だが、市川氏はこの起用に理解を示した。

「石川選手を育てたい、一人前にしたいという中日首脳陣の思いはよくわかります。もちろん生え抜きのスター候補というのもありますが、それ以上にここ最近の中日は“打ってほしいポジション”である一塁や三塁の選手の打力が低い現実がある。逆に言えば、それ以外のポジションは他球団と比べてもセイバー的に決して見劣りしていません。特に岡林選手、上林選手、細川選手で構成される外野陣は優秀です。円安で外国人選手による補強も難しい昨今、石川選手が平均以上の打者に育てば打線の見栄えもよくなりますし、得点も入るようになるのではないでしょうか」

　2026年からは本拠地・バンテリンドームにホームランテラス席が導入されることも決まっている。長く続いた貧打の時代を抜けて、井上監督は「理想のオーダー」にたどり着くことができるのだろうか。かつて球界を席巻した“強竜打線”の復活に期待したい。

＜前編とあわせてお読みください＞