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「9回2死満塁でバント」「本盗失敗で試合終了」中日はなぜ“奇策”に頼るのか?「打順に改善の余地ある」アナリストに聞く得点力不足の“意外な盲点”
posted2025/07/14 17:28

今季から中日を率いる井上一樹監督。7月14日時点でCS出場圏内の3位まで2.5ゲーム差の5位につけている
text by

曹宇鉉Uhyon Cho
photograph by
Hideki Sugiyama
井上一樹監督のもとで奮闘を続けているものの、慢性的な貧打に苦しむ中日ドラゴンズ。球団にとって根の深い課題となった得点力不足を解消する手立てはあるのか? 野球のデータ分析を専門とするアナリストに話を聞いた。(全2回の1回目/後編へ)
「打てない中日」を象徴する“ふたつの奇策”
セ・リーグ5位の中日は7月9日から4連勝として14日時点で3位のDeNAに2.5ゲーム差まで迫った。だが現状は37勝44敗(2分)の借金7、交流戦後に限っても6勝8敗と、なおも厳しい戦いが続いている。
その主要因といえるのが、立浪和義前監督時代から続く慢性的な得点力不足だろう。1試合あたりの平均得点2.52(209得点/83試合)は12球団でもっとも低い。打者不利のバンテリンドームと打者有利の神宮球場という本拠地の違いは大きいとはいえ、主力に負傷者が続出し不振をきわめるヤクルトの2.66(210得点/79試合)をも下回っている。
とにかく点が入らない――そんな中日の苦闘を表す象徴的なシーンが二度あった。一度目は4月30日の阪神戦。4対4で迎えた9回2死満塁、一打出ればサヨナラの場面で、山本泰寛がまさかのセーフティーバントを敢行。しかし阪神の桐敷拓馬が落ち着いてホームに送球し、フォースアウトで奇襲は失敗に終わった。なお試合は延長11回、カリステのサヨナラ犠飛で中日が5対4で勝利した。
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二度目は6月28日の広島戦。1対2のビハインドで迎えた9回2死一、三塁という状況で、三塁走者の尾田剛樹がホームスチールを狙う。ヘッドスライディングで滑り込んだものの、広島バッテリーの素早い対応でタッチアウト。リクエストでも判定は覆らず、本盗失敗でゲームセットという後味の悪い結末となった。