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「岡林勇希と上林誠知を1・2番に並べたい」“じつは得点期待値を下げている”中日打線の問題点…井上監督の“謎采配”「6番・細川成也」はなぜ試された? 

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曹宇鉉

曹宇鉉Uhyon Cho

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photograph byHideki Sugiyama

posted2025/07/14 17:29

「岡林勇希と上林誠知を1・2番に並べたい」“じつは得点期待値を下げている”中日打線の問題点…井上監督の“謎采配”「6番・細川成也」はなぜ試された?<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

ホームランと打点でチームトップの上林誠知。今後、「打てる2番」として起用されることはあるのか

なぜ得点期待値を下げるバントを“使いたくなる”のか?

 7月14日時点で、中日の犠打数はリーグ2位の72。市川氏は「バントが非効率だということはあらためて強調したい」としつつ、NPBの極端な投高打低の環境が“バントを使いたくさせている”のではないかと持論を述べた。

「これだけ全体的に打者が不利な環境になると、バントによるマイナスの程度は相対的に小さくなります。それでも非効率であることに変わりはないのですが、“使いたくなる状況”が増えている。打てないから、バントや盗塁やエンドランといった“作戦”で点を取りたい、と考えるようになるわけです。そのうえで言えば、バントによるマイナスもさることながら、そもそも“バントができるような打順を組もう”と考えるのがよろしくない。2番にバントをさせるという選択肢がなければ、打てないけど上位打線に入れるという発想にはなりませんよね」

 中日に紐づけて考えるなら、2番で起用されることが多い田中幹也の犠打数はチーム最多の10。1番の岡林が出塁し、2番の田中や山本泰寛(犠打数8)がバントで送るという一見「理想的な流れ」が、じつは中日の得点期待値を下げている可能性が高い。

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 1・2番に岡林と上林を並べることを推奨する市川氏も、「もし2人を並べるのであれば、どんな状況でもヒッティングさせる前提で考えるべき。岡林選手が出て、打てる上林選手がバントをするのは最悪のパターン」と念を押す。

 ロースコアゲームが頻発する現状のNPBで、1イニングに複数得点をあげる価値が高いことは言うまでもない。中日にかぎらず、2点、3点と得点するチャンスをバントによってみすみす逃すことは、「策に溺れて勝利から遠ざかっている」と断じても過言ではない。

ナゾの起用「6番・細川」が試されたワケ

 もうひとつ、中日の打順で論点になるのが細川成也の起用法だ。過去2年の実績から考えれば、4番に固定するのが妥当にも思えるが、不調や怪我による離脱もあり、4番での出場は22試合にとどまっている。オープン戦では井上一樹監督が「6番・細川」というアイデアを示し、シーズン開幕後も実際に11試合で6番として起用している。

【次ページ】 「4番・石川」から感じた中日首脳陣の“意図”

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