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大阪に出現「二刀流の“スーパー1年生”」林将輝とは何者か? 大阪桐蔭も東海大相模も誘った“恐るべき才能”「じつは大阪学院大高にもう一人、逸材いる」 

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柳川悠二

柳川悠二Yuji Yanagawa

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posted2025/07/15 11:01

大阪に出現「二刀流の“スーパー1年生”」林将輝とは何者か? 大阪桐蔭も東海大相模も誘った“恐るべき才能”「じつは大阪学院大高にもう一人、逸材いる」<Number Web> photograph by Yuji Yanagawa

「172cmのスーパー1年生」林将輝15歳とは何者か?

 身長188センチ、体重92キロという大型選手の長瀨だが、投げてはMAX146キロを誇り、打っても右の長距離砲として打線の中軸を担う。

 長瀨はプロ志望届の提出を明言しており、棒に振った昨年の分まで最後の夏に名を売りたいという野望も抱いて当然だろう。

「今は本当に野球を楽しめていますし、充実している。普通ではないスタートにもかかわらず、野球が二度とできるかもわからなかった自分を受け入れてくれて、強いチームでやらせてもらっている。チームとして日本一を目指していますから、そういう環境に身を置けて幸せです」

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 健気な印象を抱く長瀨に対しても、ちょっとした驚きがあった。髪型の自由が許されている同校にあって、長瀨だけが坊主頭になっていたのだ。春季大会中は髪の毛が長かったはず。バリカンで刈り上げた理由を長瀨に訊ねるとこんな答えが返ってきた。

「気合を入れるためです(笑)。それ以外の理由は……特にないです。やっぱり、高校野球を愛している人からすると、坊主の方が見栄えが良いというのは知っていますし、個人的にも甲子園で長髪は似合わないなと思っています」

 智弁和歌山に長瀨が入学したのは23年だ。1年秋には20人のメンバーに入ったものの、自主退学した理由について、積極的に本人が語ることはないし、こちらも触れづらい話題である。

「野球以外のところで、うまくいかなかった部分が多かった。ひとつだけ言えるのは、中谷仁監督や仲間に対しては感謝の気持ちが強いということです」

身長188cm…長瀨の実力

 かつての仲間はこの春、センバツで準優勝に輝いた。主力外野手の福元聖矢は箕面(みのお)ボーイズ(大阪)でバッテリーを組んだ仲だ。長瀨は素直に智弁和歌山を応援できたのだろうか。それとも悔しさ交じりの感情も芽生えたのだろうか。

「福元が活躍している姿を見るのは純粋に嬉しかったですね。“どうして自分があそこにいないのか”とか“自分も甲子園に立っていたはずなのに”とか、そういう気持ちはないんですけど、1年間一緒に野球をやった仲間があれだけ活躍していると、自然に“自分も夏にやってやろう”って気持ちになりました」

 初めて長瀨のピッチングを見たのは3月の練習試合だった。プロのスカウトも訪れていたこの試合で、長瀨は長身から投げ下ろすような投球フォームで剛速球を投げ込んでいた。しかし、春季大会で長瀨の登板はなく、6月に見たブルペンでは、腕を下げた投球フォームにスタイルチェンジしていた。

【次ページ】 「大阪桐蔭を倒したい」

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