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甲子園の風BACK NUMBER
大阪桐蔭に「2-23」惨敗から7年…1年生部員75人“ナゾの大阪私立高”「江夏豊の母校」「スーパー中学生も入学」佐賀・長崎からも選手集結、優勝候補の中身
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柳川悠二Yuji Yanagawa
photograph bySankei Shimbun
posted2025/07/15 11:00
1年生の部員75人、北海道から入学したスーパー1年生の存在。ナゾ多き大阪学院大高を取材した
あれから6年が経った昨春の大阪大会で大阪桐蔭を撃破し優勝すると、主将である今坂幸暉は育成ドラフト1位でオリックスに入団した。中心選手が多く残った新チームは昨秋の大阪大会3位で近畿大会に進み、センバツの選には漏れたとはいえ、いまや大阪の第2勢力に位置づけられるチームだ。
ナゾの新興勢力…大阪学院大高とは?
外野が人工芝のグラウンドに加え、梅雨期の練習にも困らない充実した屋内練習施設、独り部屋の寮を持つ同校は、スカウティングに力を入れている点も大きな特徴だ。関西の中学硬式出身者だけでなく、主力選手のなかには佐賀や長崎の選手もいて、全国から選手を集めている。
そして、この春には昨年の中学3年生世代で最も大きな注目を集めた右腕・林将輝が北海道からやってきた。U-15侍ジャパンの中心選手として世界一に貢献し、入学直前の冬場には146キロをマークしたという林は、大阪桐蔭や東海大相模など、名だたる強豪や甲子園常連校からの勧誘を蹴って、この新興勢力を進学先に選んだ。
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なぜなのか。林は言う。
「(府内のライバルである)大阪桐蔭や履正社を倒して、甲子園で日本一になるために大阪学院に来ました」
同校の辻盛英一監督は、入学前の段階では林に対して、1年春からの起用には慎重で、「大切に育てたい」と話していた。ところが、春の大阪大会では初戦から林を起用し、報道陣の取材が解禁された大阪大会の5回戦・履正社戦では2対2のまま突入した10回表、タイブレークのマウンドに林を送り出した。お披露目登板にしてはあまりに緊迫の場面であり、それだけに見る者の胸は躍った。
大事な局面で林を投入したことを辻盛監督はこう振り返った。
「監督として試合でどうしても起用したくなる選手ですね。春は『使わない』という選択肢もあったんですけど、やはり経験もさせたかった。履正社戦に関しては、結果として大事な場面で登板させることになりましたが、迷いはなかったです。打たれても抑えても良い経験。彼にとって悪いことは何もありません」
辻盛監督は投手としての林に対して、「すべてが一級品」と大絶賛だ。

