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「月曜完全オフ」「ゆで卵を数時間ごとにモグモグ」公立進学校野球部は“私立優位”にどう立ち向かうか「1人で使える時間こそ…」静岡高校のケース
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間淳Jun Aida
photograph byJun Aida
posted2025/07/13 06:02
静岡高校の池田監督は名門公立校をどのようにして強くしようとしているのか
専門家の立場から、ひとり一人に合わせた食事指導を受けている。チーム全体で目指す理想の体型は「体重=身長-95(身長180センチであれば体重85キロ)」かつ「体脂肪率15%未満」。除脂肪体重を高めることを大切にしている。選手によって理想とする体重や体脂肪との差は異なり、体質も違うため、管理栄養士は個々の選手に白米を食べる時間や量、タンパク質やミネラルの摂取量などを伝える。
個々人で体格や体質は異なるため、食事指導は極めてパーソナルだ。中には、夕食の白米を200グラムに制限されている選手もいる。練習後で腹ペコにもかかわらず、小さな茶碗1杯分の白米では物足りない。だが、遅い時間帯に食欲の赴くままに食べると、体脂肪が増えてしまう。夕食を我慢した代わりに、朝は700~800グラムの白米を食べてエネルギーを蓄える。
数時間おきにゆで卵、チーズをモグモグする選手も
また、炭水化物やたんぱく質を摂取する間食の時間を重要視する。たんぱく質は、どんなに肉をたくさん食べても、一度で20グラムほどしか体は吸収できないという。理想の体をつくるには、1日に体重×2グラムくらいは摂取したいため、数時間おきにゆで卵やチーズを食べたり、部活中にもベンチで食べ物を口にする選手もいる。
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「そのタイミングで食べる? という選手もいますが、みんな自由に食べています。時々モグモグしながらグラウンドに出ている選手もいるので、ベンチでしっかり食べてから出てこいと言っています」
と池田監督は笑う。
ひと昔前に比べると、体重を増やすために“吐くほど”白米を食べさせたり、食事や補食の時間を設けずに練習したりするチームは減っている。食事はパフォーマンスにも直結する要素であり、池田監督も重要視している。
「選手たちは管理栄養士から、体づくりに不可欠なミネラルやビタミンが豊富に含まれている食材など栄養指導を受けています。いつ、何を、どのくらい食べれば良いのか理解しているので、実践するかどうかは選手の判断です。上のレベルを目指すのであれば、毎日の食事も考えた方が良いよねと伝えています」
公立の進学校だからこそのチームづくりとは
一見、野球のパフォーマンスには関係なさそうなグラウンド外の言動にも、池田監督は目を光らせる。他の教師から聞く学校生活の様子、毎日やり取りしている野球日誌の内容などから、勝者のメンタリティが見えてくる。

