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バレーボールPRESSBACK NUMBER
「日本代表に戻る可能性はある?」25歳林琴奈の答えは…SVリーグMVP“バレー代表辞退の真相”、新監督との30分面談でも揺らがなかった決意
text by

米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byYohei Osada/AFLO SPORT
posted2025/07/11 11:02
今年度は日本代表から離れた林琴奈(25歳)。SVリーグではレギュラーシーズンMVPに選ばれている
辞退の意向を伝えると、日本代表のフェルハト・アクバシュ新監督から話をしたいと要望された。当時監督はまだ海外にいたため、オンラインで30分ほど、画面越しに向き合った。
「中心となって代表チームを引っ張って欲しいと思っている。休みもしっかり取れるように考えているから」と、指揮官はいかに林を必要としているかを訴えた。
「自分は休みが欲しいという気持ちはあまりなかったんですけど、すごくありがたかったです。使い方についても、自分が悩んでいることを話したら、例えばバックで打てないなら二枚替えとか、(守備固めで)バックだけとか、レフトで起用することもできる、みたいに言ってもらって。
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でも自分は二枚替えというタイプではないですし。攻撃型ではないので前で入ってもあまり意味がないかなと。それならもっと打てる人が入るほうが絶対にチームとしては強くなると思いました」
3日間答えを出す時間をもらったが、林の気持ちは変わらなかった。
「ずっと10%と90%ぐらいでした。だから、ごめんなさい、と」
親友・関菜々巳が明かす本音
仲のいい関菜々巳(ブスト・アルシーツィオ)や石川真佑(ノヴァーラ)には、発表前にLINEで伝えた。
「オリンピックが終わった後、『来年いるかどうかわかんない』みたいな話はしていたので、わかっていたかもしれないですけど、まさか本気で断るとは思っていなかったっぽいです。『ホントに来ないの?』という感じでした。断る勇気ないって思われていたと思います(笑)」
林と同い年の関は、親友の決断への思いをこう明かした。
「もともと琴奈は欲がないんです。パリの時から、行きたくて行っているというよりは、あれだけうまかったら行かなきゃいけないから、なんていうか、責任感みたいな……。でも負けず嫌いだから、行くからにはすごく頑張るんですけど。『もう今年まで』っていつも言ってて、琴奈はそういう子なんです。
『私が行くべきではない』とか言ってるけど、そんなことは絶対ないじゃないですか。あんなにうまい人、私は見たことないっていうぐらい、本当に上手。私本当に尊敬しているので、『そんなことはない!』って思うけど……。すごく寂しいですし、来て欲しいですよ。でも琴奈が心の底から行きたいって思えないなら、それは琴奈の人生であるから、尊重します。心身ともに疲れているでしょうし。でも、『そんなことはないのになー』って、いつも思っています」
戦友への信頼と寂しさ、もどかしさがにじんだ。
「自分じゃないほうが」「迷惑かけたくない」という言葉はネガティブにも聞こえる。だが今、林はしっかりと前を向いている。その訳は――。
〈後編に続く〉


