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横綱・大の里「実は後輩に敗れていた」世界大会…怪物を撃破も“相撲界から消えた”同じ大学の天才力士とは何者だった?「弱冠19歳でアマ横綱に…」

posted2025/07/14 11:00

 
横綱・大の里「実は後輩に敗れていた」世界大会…怪物を撃破も“相撲界から消えた”同じ大学の天才力士とは何者だった?「弱冠19歳でアマ横綱に…」 <Number Web> photograph by KYODO

2022年のワールドゲームスで優勝した日体大3年時の花田秀虎(中央)。決勝で破った1学年上の先輩・中村泰輝(左)はのちの横綱大の里だ

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別府響

別府響Hibiki Beppu

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 この7月場所から新横綱となった大の里。戦後のあらゆる最速記録を更新しながら角界の頂点まで駆け上がった怪物だが、実は大学4年時、アマチュア界には“敵なし”だった時期に世界大会の決勝で同じ日体大の後輩に敗れている。では、未来の横綱を破ったその後輩とはいったい何者だったのか。そして、なぜ彼はその後、突然土俵から姿を消したのか――?《NumberWebノンフィクション全3回の1回目/つづきを読む》

「嬉しいのが大きかったですかね。でも、悔しさもあるし、自分もやらなくちゃとも思ったし……本当に全部の感情ですね」

 5月。日本からは遠く離れたアメリカ・コロラド州。

 初土俵から所要13場所という“史上最速”のスピードで大相撲の最高位まで駆け上がった大学時代の先輩を見て、花田秀虎は異国の空の下でそんなことを考えていた。

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「(横綱に)なるとは思っていました。でも、こんなに早いのかと。しかも若くして横綱になって、齢25で大相撲の看板を背負うワケじゃないですか。それは素直にすごいなとも思います」

 先日開催された大相撲の五月場所。2場所連続優勝を決めたことで、大関・大の里の第75代横綱への昇進が決まった。

 大の里は初土俵からわずか4場所で新入幕を果たすと、6場所で三役、9場所で大関と、ここまで驚異的なスピードで昇進を重ねてきた。まさに規格外の力士と言っていい。192cm、191kgの恵まれた体躯からの素早い取り口は、他に類を見ない。

「怪物」大の里の後輩…ともに高校時代から活躍

 その怪物・大の里=中村泰輝にとって、日体大相撲部の1年後輩にあたるのが花田だ。

 ともに高校時代に全国トップクラスの実績を残し、多くの部屋からの誘いを断っての大学進学だった。

 同じ大学の先輩後輩の間柄で、ともに将来の角界を背負っていくと期待されていた両者。最初に結果を出したのは大の里である。

 2019年に新潟県立海洋高から日体大に入学すると、その年11月の全国学生相撲選手権で1年生優勝。ルーキーにもかかわらず、いきなり学生横綱に輝いた。その他にも国体などでも優勝し、実に1年間で個人戦だけでいきなり6度も優勝して見せた。

【次ページ】 大学1年生で異例の「アマチュア横綱」に

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