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角界復帰の可能性は「全然、ありますね」…大の里を破って相撲世界一→アメフト転向でNFL挑戦 23歳元“天才力士”の未来図「いろんなオプションがある」
posted2025/07/14 11:02
日本人初のNFL選手を目指す元アマ横綱の花田秀虎。来年のトライアウトで挑戦が成就しなければ様々な未来図も描いているという
text by

別府響Hibiki Beppu
photograph by
Shigeki Yamamoto
「日本から、スモウレスラーが来るらしいぜ――」
2023年の7月末のこと。
アメリカNCAA1部コロラド州立大の3年生に編入するためにアメリカの地にやってきた花田秀虎は、初めて経験する現地の強豪アメリカンフットボール部の空気に面食らっていた。
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実は相撲はアメリカでも人気競技である。競技の内容そのものというよりは、力士そのものが一種の日本のアイコンとも思われており、広く知られている。
その本場の国からアマチュアとはいえ横綱が、しかも自分の国の“国技”であるアメフトをしにやってくるという。当然、部員たちの間には「スモウレスラーって何者なの?」という興味と、「本当に強いの?」という品定めが混じった、異様な雰囲気が漂っていた。
「もちろん『スモウレスラーが来た』という盛り上がりもありました。でも、だからこそ基本的にみんな最初は認めてくれないんですよ。だから結構、初期の練習は当たりも強かったんです」
日本から来た話題の新参者に「ここはお前の知っている世界じゃないよ」と教え込もうとばかりに、ルーキーの花田には激しい「カマシ」が入った。時には反則ギリギリのダーティーなプレーまで織り交ぜ、誤解を恐れずに言えば潰そうとしてきたのだ。
「このまま引いたら確実に潰される」
レギュラーの椅子は限られている競技でもある。それも無理からぬことだったのかもしれない。
「それで『このまま引いていたら確実に潰されるな』と思ったんです。だから、絶対気持ちで引かないようにしようと。言われたら自分の意見はちゃんと言い返すし、特に自分の土俵である正面での1対1では絶対に負けないようにしました。そこはやっぱり、相撲を背負っている部分もありましたから」
ただ、競技面に関しては、それでも現場に行けばまだやりようがあった。自分の力をしっかりアピールさえできれば、アメフトという共通言語があるからだ。

