「ぜひ皆さんやって頂きたい（笑）」陸上800mで“衝撃の日本新記録”…17歳・久保凛がレース後に見せた「テレビには映らない」“本当の強さ”の正体 

　例えば、アジア選手権ではこんな一幕があった。2位に終わり、悔しさのあまり涙に暮れていたのだが、スタンドに知人を見つけるとその途端、笑顔に変わった。もちろん悔しさがすぐに晴れたわけではなかったと思うが、急な表情の変化には驚かされた。

アジア選手権では銀メダルに終わり憮然とした表情を見せていたが、直後には切り替えの上手さも感じられた　©︎Satoshi Wada

ミックスゾーンで見せた「大器の片鱗」

　根っからの明るい気質も併せ持っているのだろう。そんな一面が今回の日本選手権のレース後のミックスゾーンでも見られた。

「800mは、短いけど、すごくしんどい種目なんですけど、しんどい分、記録が出た時はめっちゃ嬉しいなって思います。しんどいからこそ、たくさんのライバルと一緒に走れる楽しさっていうのがあると思うんで、ぜひ皆さんやって頂きたいと思います（笑）」

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　たくさんの記者に対して、17歳の少女が冗談を言い放ったのだ。こんな堂々とした振る舞いができるのも、高校生離れしている証だ。

レースは終始、先頭を譲らず圧勝　©︎Yuki Suenaga

　目標としていた世界選手権の参加標準記録には届かなかったものの、ワールドランキングもしくは開催国枠で出場できる可能性は高い。

「中学から陸上を始めて、世界の舞台はめっちゃ遠い存在だなって感じていたのが、今回もう1回（1分）59秒台を出すことができて、目の前にまで来ているなっていう気持ちになりました。もっとレベルを上げて世界に通用する選手になりたいなって改めて思いました。

　出場できたらこの競技場（日本選手権と同じ国立競技場）で1本でも多く走れるように、楽しんで走ってファイナルまで進みたい。そこまでしっかり練習を積んでいきたいなと思います」

　成長曲線は昨年よりも緩やかになっても、まだまだ右肩上がり。9月の世界選手権も、彼女の成長の糧になるのだろう。