久保凛16歳“陸上界の新ヒロイン”が国スポで39年ぶり大会新…本人が語った今季“覚醒のキッカケ”「憧れの田中希実選手に勝つことができて…」

　800mの16歳女王がまたも貫禄を見せつけた。秋晴れの佐賀に東大阪大敬愛高2年の久保凛の笑顔が映える。今度は国民スポーツ大会（昨年までの国民体育大会）の大会記録を39年ぶりに塗り替えた。

　10月12日、SAGAサンライズパークSAGAスタジアムで行われた少年女子A800mの決勝。スタート直後から異次元のスピードを披露し、瞬く間に周りを突き放す。1周目の通過が58秒。最後まで粘り、後続に5秒以上の大差をつける2分2秒09の独走で優勝した。

　1985年の新井文子（群馬女短大附高、現・高崎健康福祉大高崎高）が持つ2分4秒82を破り、伝統ある大会でも新記録をマーク。場内で「大会新記録です。おめでとうございます」とアナウンスされた。久保は右手を挙げてガッツポーズしながら、写真撮影に応じた。

　7月に800mの日本新記録を樹立したばかりの久保が格の違いを見せつけた。

　前日11日の予選は同学年のドルーリー朱瑛里（岡山・津山高）が最後の直線で転倒するなど波乱も起こったが、そんな中でも久保は2分5秒65でトップ通過。走り終わるとスタンドに手を振っていた。この日はシーズン最後だという800mレースで優勝。充実の日々を華々しく締めくくった。

9月に行われたYogibo Athletics Challengeでも2分01秒25で優勝。国スポも圧勝で今季、主要大会で日本人には無敗　©AFLO

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「久保建英のいとこ」から無敵の中距離女王に

　わずか1年で、国内では向かうところ敵なしの成長を遂げた。久保凛のスゴさは「久保建英のいとこ」という、世間の耳目を集める“謳い文句”をメディアに外させたことだろう。レースで快走するたびに走りそのものが注目され、久保凛は確たるひとりのアスリートとしてみられるようになった。

　その躍進ぶりはすさまじい。高校1年生だった2023年8月5日、北海道でのインターハイを2分6秒41で制してから1年も経たないうちに自己ベストを6秒以上も短縮した。その結実が、24年7月15日の関西学連第1回長距離強化記録会（奈良・橿原公苑陸上競技場）である。雨が降るトラックを飛び出すと、独走で1分59秒93の日本新記録を樹立。日本女子初の2分切りは日本陸上界に驚きをもたらした。

　久保自身も目を丸くして言う。

「去年のベストタイムは2分6秒台でした。高校記録を今年中に出せればいいなという感覚だったので……日本記録を出すことができて、自分が考えているよりも上にいけたと思います」

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