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「巨人には100%行かない。そんなバカじゃない」星野仙一の発言に渡辺恒雄は怒った…ペタジーニと中村紀洋“争奪戦”、ノリの「阪神内定」なぜ消えた?
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岡野誠Makoto Okano
photograph byJIJI PRESS
posted2025/07/08 11:04
2002年オフ、中村紀洋争奪戦に巨人と阪神が名乗り。だが結果は…
「星野みたいな小僧がおれにケンカを」
22日、巨人の渡辺オーナーは〈ペタが来るんだから土下座してまでおいで願わなくてもいい〉と撤退を表明。ついでに、星野監督を皮肉った。
〈星野君は頭が湯だってる。せっかくおれと久万さん(阪神オーナー)が強くしようと頑張っているのに星野みたいな小僧がおれにけんかを売ってもしょうがないだろう。意味ないんだよ〉(以上、02年11月23日付/日刊スポーツ)
中村紀は12月3日、阪神・黒田編成部長と会談。その後、渡米してニューヨーク・メッツと交渉した。
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「マスコミには『好感触や』と言いましたけど、手応えはなかった。どこに行きたいのか掴めなかった。本人も悩んでいたんでしょう。近鉄残留はないと感じましたけどね」
中村紀洋の近鉄残留…なぜ?
20日、中村紀はメジャー挑戦を決め、近鉄の梨田昌孝監督に報告しに行った。その席で熱烈な引き留めに合い、会談が終わらない。時間が刻々と過ぎる中、20時にNHKのニュース速報で「メッツ入り確定」と流れた。すると、星野は中村紀にすぐ電話を掛けた。中村自身が著書で述懐している。
〈星野監督にしたら、決まったんやったら、なんで先に一言連絡して来んのか、ということ(中略)星野監督がそう思うのは当然で、僕たちはそういう思いだけは絶対に相手にさせたくなかったから、順序を踏んで動いていたのに……〉(05年1月発行/書籍『noriの決断』)
正式契約前に公式ホームページで発表したメッツの背信行為に、中村紀は絶句。翌日、急転直下で近鉄残留を発表した。阪神への移籍消滅を、黒田はどう感じたのか。
〈つづく〉

