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「競輪選手みたいな足だね」“セクハラおじさん”に元中日ビール売り子が本音…「二軍球場でワンオペ」仕事中にあった驚きのドラマ「プロポーズの相談を…」 

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曹宇鉉

曹宇鉉Uhyon Cho

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photograph by本人提供

posted2025/07/05 11:01

「競輪選手みたいな足だね」“セクハラおじさん”に元中日ビール売り子が本音…「二軍球場でワンオペ」仕事中にあった驚きのドラマ「プロポーズの相談を…」<Number Web> photograph by 本人提供

中日ドラゴンズの二軍球場を中心に、ビール売り子として地元のファンにも愛されたRiNRiNさん

「競輪選手みたいな足だね」心ない一言に…

――すさまじいハードワークですね。体力も精神力も鍛えられそうな職場ですが、売り子で得たものは格闘技にも生きていたりするんでしょうか。

RiNRiN 楽しいと思えば頑張れる、ってことを学びました。当時、4時間とか6時間とか動き回っても全然疲れなかったんですよ、楽しすぎて。キックでもただただ「勝ちたい」と思って練習しているときは一瞬で時間が過ぎちゃう。でも、しんどい時期は1時間でも頑張るのがつらくなる。なにをするにもモチベーションが大事なんだなと。あと、これはアマチュアキック時代の話なんですけど、試合前の減量にめっちゃ役立ちました(笑)。特別な減量食じゃなくても、ナゴヤ球場の3連戦で3kgくらい体重が落ちるので。なんにせよ、体力的なところは全然苦じゃなかったです。

――体力面以外でしんどかったことはありますか?

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RiNRiN 「女の子をいじるのが面白いと思ってるおじさん」はイヤでしたね。キックと並行して売り子もやっていたんで、下半身がけっこうゴツかったんですよ。そしたら「競輪選手みたいな足だね」って言われたことがあって。

――セクハラ的なことを。

RiNRiN そういうときは「こいつ……!」って思いますね(笑)。先にも言いましたけど、仕事の頑張りを評価してもらえるのは嬉しいんですけど、女の子として評価されるのはイヤだったんですよ。

試合後に“お客さんとの相談会”も

――それは正当な怒りだと思います。逆にどんなときに仕事のやりがいを感じていましたか?

RiNRiN やっぱりお客さんにも「楽しい」と感じてもらえるときですかね。そういうコミュニケーションができたのはナゴヤ球場だからなんですけど。わりと真剣な相談を聞くこともありました。お客さんに「今日ちょっと聞いてほしい話があるんだよね」って言われて、「じゃあ何回くらいに来るね。ピーク終わるまで待っててね」みたいな。

――えっ、そんなこともあるんですか。

RiNRiN 「ドラゴンズファンの女の子と付き合ってて、プロポーズしたいんだけどどう思う?」とか、「娘のプレゼント、何がいいかな」とか……。試合が終わったあと、球場の外の公園で相談したこともありますね。売り子だからこそ、そういう話もしやすかったのかも。ただ、男の人とご飯に行くとかは一切ないです。家族連れとかカップルだったら、球場の外で一緒に食事することもありました。

――普通のビール売り子のイメージとはまったく違いますね。ナゴヤ球場をめぐる人間ドラマが見えてくるような……。それだけ売り子の仕事に情熱を注いでいたRiNRiNさんは、なぜプロのキックボクサーになろうと思ったんでしょうか?

<第3回に続く>

#3に続く
「ビール売り子のほうが収入は安定してましたが…」身長173センチ、7戦全勝…中日の人気売り子だったRiNRiNがキックボクサーに“異例の転身”したワケ
この連載の一覧を見る(#1〜3)

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