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「女の子を売りにしてない」異色の“元人気ビール売り子”が明かす中日二軍球場のリアル「見た目で評価されるのは…」“ドームがイヤだった”意外な理由

posted2025/07/05 11:00

 
「女の子を売りにしてない」異色の“元人気ビール売り子”が明かす中日二軍球場のリアル「見た目で評価されるのは…」“ドームがイヤだった”意外な理由<Number Web> photograph by 本人提供

中日ドラゴンズの二軍球場を中心に、ビール売り子として地元のファンに愛されたRiNRiNさん

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曹宇鉉

曹宇鉉Uhyon Cho

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ナゴヤ球場を中心にビール売り子として活動し、現在は格闘家に転身したRiNRiNさんのインタビュー。第1回では、ナゴヤ球場での“ワンオペ売り子”時代に感じたやりがいや、知られざるウラ側を聞いた。《NumberWebインタビュー/第2回第3回に続く》

◆◆◆

――キックボクサーとしてプロ7戦7勝(3KO)と活躍されているRiNRiNさん(rrph_759​)。2年前までは中日ドラゴンズの二軍球場であるナゴヤ球場でビール売り子をされていたという異色の経歴の持ち主です。どういったきっかけで売り子を始めて、なぜナゴヤ球場で働くことになったんでしょうか。

RiNRiN きっかけは友達の紹介です。最初は主にサッカーとラグビーの現場に出ていたんですけど、そこを統括していたナゴヤ球場の店長さんが「来ないか」と誘ってくれて。以前、ナゴヤ球場には10年近く働いていた真代さんっていう有名な売り子がいたんですよ。その方がいなくなり、しばらく後継者不在の時期が続いて、私が数年越しで定着した感じですね。

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――売り子時代の働きぶりを動画で拝見したんですが、ほぼワンオペのような形でしたよね? 一塁側と三塁側の観客席を行き来して、率直にめちゃくちゃ大変そうだなと……。

RiNRiN 最初から「ひとりだよ」って言われていたので、そこは覚悟していました。でも案外、平気でしたね。平日はお客さんも少なかったですし。売り子を始めたころに別会社で少しだけバンテリンドームの仕事をしたんですけど、ドームだと大体の人が「一塁とライト」みたいな感じで売り場を回るように教えられました。攻撃時は内野、守備になったら外野みたいな。それと同じ感覚で一塁側から三塁側まで回っていました。

「女の子を売りにしてない」異色のビール売り子

――売り子と言えばビアサーバーを担いでいるのが一般的なイメージだと思うのですが、RiNRiNさんの場合は500ml入りの缶を最大4ケース分(48本)、総重量にして20kg超の飲み物を抱えて移動されるわけですよね。やはり相当な体力が要求されるんじゃないですか。

RiNRiN あんまり大変だと感じたことはないです。真代さんは小柄な方だったらしいんですけど、24本+3ケース(計60本)持っていたと聞きましたし(笑)。個人的にはドームのほうがやりづらかったかもしれません。人が多すぎて、ギッチギチで……。その点、ナゴヤ球場は席の間隔がちょっと広いので楽ではありましたね。それに、缶だと無駄が出ないので。

――無駄、というと?

RiNRiN サーバーだとマックス24杯の樽でも、歩き方や注ぎ方ひとつで20杯しか注げない、みたいなこともあるんですよ。でも、缶だと24本持っていけば確実に24杯注げるので。サーバーと違って、パッと見で売上と残りがわかるのも自分に向いていました。

――なるほど。結果的にナゴヤ球場で6年間売り子を続けられるわけですが、なぜそこまで情熱を傾けることができたんでしょうか。

RiNRiN 始めるときに「女の子を売りにしてない」って理由で選んでもらったのが嬉しかったんですよね。売り子さんって「かわいい子から買おう」とか「小さい子が一生懸命やってるところがいい!」とかで評価されることが多いと思うんですけど、私、あだ名が「運動部」で(笑)。とにかく動く、みたいな。その頑張りを認めてくれた方が上司だったので、期待に応えたかったんです。あと、ドームでイヤな思いをしたこともあって。

【次ページ】 ナゴヤ球場は「お前ひとりのフィールドだぞ」

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