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「阪神7連敗も惨敗はなく防御率1.99」「巨人の平均OPS5割台」交流戦セ43勝63敗、大負けのナゼ…“パとの決定的な差”は得失点差に潜む 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2025/06/27 06:50

「阪神7連敗も惨敗はなく防御率1.99」「巨人の平均OPS5割台」交流戦セ43勝63敗、大負けのナゼ…“パとの決定的な差”は得失点差に潜む<Number Web> photograph by JIJI PRESS

7連敗を喫したものの8勝10敗で交流戦を切り抜けた阪神。セ各球団が軒並み負け越したため首位転落はなかった

 各チームの得失点差とそれに基づいてこれだけの勝率を上げると計算した「ピタゴラス勝率」と実際の勝率の乖離を見てみよう。P率=ピタゴラス勝率、実率=実際の勝率。

〈パ・リーグ〉
ソフトバンク79得42失
P率.780→ 実率. 706
オリックス68得64失
P率.530→ 実率. 611
日本ハム64得50失
P率.621→ 実率. 611
西武40得44失
P率.452→ 実率. 556
ロッテ55得64失
P率.425→ 実率. 556
楽天51得58失
P率.436→ 実率. 529

〈セ・リーグ〉
広島74得75失
P率.493→ 実率. 500
阪神58得40失
P率.677→ 実率. 444
中日46得58失
P率.386→ 実率. 444
DeNA53得59失
P率.447→ 実率. 389
巨 人38得51失
P率.357→ 実率. 353
ヤクルト53得74失
P率.339→ 実率. 294

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 ソフトバンクのP率は.780だからまだ勝ち足りないことになる。オリックスはわずか得点が4点上回っただけで勝率6割、そして西武、ロッテ、楽天はP率4割台だが実際は勝ち越した。セでは阪神がP率.677、本来ならソフトバンクに次ぐ2位にいてもおかしくないのに、実際は負け越している。

 阪神は6月10日から17日まで7連敗したが、1点差負けが4試合、2点差が2試合、それも含めて10敗全てが3点差以内。そして6点差以上の勝利が4試合もあった。逆転負けが5試合あり、大差をつけないと勝てなかった。これに対してオリックスは、11勝中7試合が2点差以内。拮抗した試合をしっかりものにしていたと言える。

 つまり、今季の交流戦は「パ・リーグは競り合いに強く、セは弱かった」という事実が浮かび上がってくる。

打者は柳町、投手はモイネロに大関…ホークス無双だった

 最後に投打の上位選手を見ていく。

【両リーグ打撃5傑】
〈パ・リーグ〉
柳町達(ソ)18試68打27安0本8点0盗 率.397 OPS.930
杉本裕太郎(オ)18試69打23安2本7点0盗 率.333 OPS.892
西川龍馬(オ)17試67打22安1本11点1盗 率.328 OPS.774
レイエス(日)16試57打18安3本12点0盗 率.316 OPS.899
清宮幸太郎(日)17試68打21安1本7点2盗 率.309 OPS.775

〈セ・リーグ〉
岡林勇希(中)18試74打28安1本8点6盗 率.378 OPS.932
小園海斗(広)18試74打27安0本4点3盗 率.365 OPS.859
オスナ(ヤ)18試67打23安1本9点1盗 率.343 OPS.879
ファビアン(広)18試73打24安4本15点1盗 率.329 OPS.924
中野拓夢(神)18試64打20安2本5点3盗 率.313 OPS.710

 交流戦MVPを獲得したソフトバンクの柳町が首位打者、打点王は広島のファビアン、盗塁は阪神の近本光司の8。日本ハムの水谷は、昨年首位打者を取って売り出すも今季ほとんど出番がなかった。しかし交流戦で復活して打率3割3本塁打をマーク。新庄監督の用兵の見事さだ。

【両リーグ投手5傑】
〈パ・リーグ〉
モイネロ(ソ)3試1勝0敗23回2球37振 率0.78
大関友久(ソ)3試2勝0敗23回2球17振 率0.78
有原航平(ソ)3試2勝0敗21回8球21振 率0.86
渡邉勇太朗(西)3試2勝0敗20回3球11振 率0.90
田嶋大樹(オ)3試2勝1敗19.2回4球10振 率1.37

〈セ・リーグ〉
松葉貴大(中)3試2勝1敗22回6球7振 率0.82
グリフィン(巨)3試1勝0敗19回4球20振 率0.95
才木浩人(神)3試1勝1敗20.2回6球15振 率1.31
デュプランティエ(神)3試2勝1敗19.2回4球29振 率1.37
山﨑伊織(巨)3試0勝1敗22回1球21振 率1.64

 防御率1位のモイネロと大関をはじめ、ソフトバンクの3先発が優秀だったことがわかる。最多勝は日本ハム加藤貴之が3勝、最多セーブはオリックスのマチャド、中日・松山晋也の7、最多ホールドは阪神・及川雅貴の7だった。

ロッテの新人・西川が打率.524の大当たり

《第13週》 2025年6月16日から6月24日まで。チーム成績は重複するので割愛する。

【打撃成績】※打撃の総合指標であるRC(Runs Created)順
〈セ・リーグ〉
岡林勇希(中)23打10安0本1点0盗 率.435 RC6.81
ファビアン(広)23打8安3本8点0盗 率.348 RC6.50
中野拓夢(神)17打8安0本3点2盗 率.471 RC5.12
大盛穂(広)24打8安1本1点1盗 率.333 RC5.10
坂本勇人(巨)17打6安1本1点0盗 率.353 RC4.74

〈パ・リーグ〉
西川龍馬(オ)25打12安1本7点1盗 率.480 RC7.80
西川史礁(ロ)21打11安0本5点0盗 率.524 RC7.43
浅村栄斗(楽)19打8安0本3点0盗 率.421 RC5.57
ネビン(西)20打7安0本1点0盗 率.350 RC4.77
長谷川信哉(西)24打7安1本2点0盗 率.292RC4.52

 セは交流戦打率2位の岡林が1位。本塁打は広島のファビアン、DeNA筒香嘉智の3、打点もファビアンの8、盗塁は阪神近本光司の3が最多。パはオリックス西川が高打率。本塁打はロッテ山本大斗の2、打点はオリックス西川、ソフトバンク栗原陵矢の7、盗塁は楽天・小深田大翔の3が最多だった。

【投手成績】 ※リーグ平均防御率に準拠したPR(Pitching Run)順
〈セ・リーグ〉
デュプランティエ(神)1登1勝9回 責0 率0.00 PR3.37
大貫晋一(De)1登1勝9回 責0率0.00 PR3.37
伊原陵人(神)1登1敗6回 責0率0.00 PR2.247
村上頌樹(神)1登8回 責1率1.13 PR1.997
横川凱(巨)2登5回 責0率0.00 PR1.87
大竹耕太郎(神)1登1勝5回 責0率0.00 PR1.87
矢崎拓也(ヤ)3登1H5回 責0率0.00 PR1.87

〈パ・リーグ〉
今井達也(西)1登1勝9回 責0率0 PR2.89
伊藤大海(日)1登1勝9回 責0率0 PR2.89
早川隆久(楽)1登1勝7.1回 責0率0 PR2.35
有原航平(ソ)1登1勝7回 責0率0 PR2.25
岸孝之(楽)1登1勝7回 責0率0 PR2.25
瀧中瞭太(楽)1登1勝7回 責0率0 PR2.25

 セは阪神デュプランディエが19日のロッテ戦で完封。DeNA大貫も21日のロッテ戦で完封。救援では巨人マルティネスが3セーブ、同じく大勢が3ホールドを挙げた。パは西武の今井が17日のDeNA戦で、日本ハム伊藤が20日の中日戦でそれぞれ完封。救援ではロッテ中森俊介とオリックスのマチャドが3セーブ、ロッテ鈴木昭汰が4ホールドをマーク。

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