酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
肉体改造でカブス鈴木誠也30歳「43本塁打139打点ペース」“大谷超え打点王”ありえる…大谷翔平2度目登板は復帰戦と“大違いの内実”
text by

広尾晃Kou Hiroo
photograph byJIJI PRESS
posted2025/06/24 17:56
カブス鈴木誠也は打点王が狙えるとともに、同い年の大谷翔平に肉薄する成績を残しつつある
打球速度が低いとバレルゾーンは小さくなり、本塁打、安打は出にくくなる。
MLB公式サイトの『Savant』には、MLB打者の打球速度(初速=Exit Velocity)の最大値(MAX)のランキングが掲示されている。メジャー移籍後の鈴木と大谷の打球速度と、規定打席以上の選手内での順位は以下のようになる。
〈22年〉
鈴木=179.1km/h、117位
大谷=189.7km/h、3位
〈23年〉
鈴木=184.4km/h、32位
大谷=190.9km/h、4位
〈24年〉
鈴木=185.9km/h、21位
大谷=191.8km/h、3位
ADVERTISEMENT
このように、トップクラスにいる大谷に対して、年を追うごとに同い年の鈴木が肉薄していた。そして今季は、鈴木が187.0km/hで14位、大谷が189.7km/hで4位と、いよいよ拮抗する位置にまで迫りつつあった。
ただしその代わり、三振数は増えている。鈴木の三振数は24年の160が最多だが、これを軽く超えそうだ。打率を捨て、三振を「ホームランのコスト」と割り切る潔い姿勢で、鈴木誠也は大谷の牙城に迫りつつある。
登板日に本塁打…大谷の投打成績は?
その大谷は2回目の先発登板日に本塁打を含む5打点の活躍を見せた。この1週間の打撃成績と、ナショナルズ戦の全18球の内容を見ていこう。
〈大谷翔平/ドジャース〉
・打者成績
70試279打83安25本41点11盗44球79振 率.297 OPS1.035
6月17日パドレス戦 4打0安0本0点0盗 0球4振
6月18日パドレス戦 4打0安0本0点0盗 0球1振
6月19日パドレス戦 4打1安0本0点0盗 0球1振
6月20日ナショナルズ戦 3打1安0本1点0盗 2球1振
6月21日ナショナルズ戦 4打0安0本0点0盗 0球2振
6月22日ナショナルズ戦 4打2安1本5点0盗 1球2振
6試合23打4安1本6点0盗 3球11振 率.174
・投手成績 ※カッコ内は(球数-ストライク)
2試0勝0敗0S2回2安0本0球2振 責1率4.50
6月16日パドレス戦1回2安0本0球0振 責1(28-16)
6月22日ナショナルズ戦1回0安0本0球2振 責0(18-12)
22日のナショナルズ戦、以下が全18球のデータ。カッコ内は(球速km/h、回転数)。球種は4S=フォーシーム、CT=カットボール、SK=シンカー、SW=スイーパー、SP=スプリッター。
〈1回表〉
1番 エイブラムス(左)
真中高4S 一ゴロ(156.4km/h、2477)
〈一死走者なし〉
2番 ウッド(左)
真中SW ストライク(132.9km/h、2404)
真中低SW ストライク(135.7km/h、2453)
内角低SP ボール(146.9km/h、1697)
外角高SW ボール(137.6km/h、2563)
内角中SW 遊飛失策(132km/h、2531)
〈一死一塁〉
3番 ガルシアJr.(左)
真中低SW ファウル(133.1km/h、2432)
内角低CT ボール(151.8km/h、2520)
外角高4S ボール(157.7km/h、2418)
真中低CT ファウル(149.7km/h、2516)
内角低SW 空三振(138.2km/h、2509)
〈二死一塁〉
4番 ローウィ(左)
外角中4S ストライク(156.9km/h、2406)
真中高4S ファウル(157.9km/h、2328)
外角高4S ボール(159.0km/h、2377)※最速
内角低SW ファウル(135.0km/h、2492)
真中高4S ファウル(157.9km/h、2346)
内角低SP 暴投(146.4km/h、1544)
〈二死二塁〉
外角低CT 空三振(142.1km/h2483)
復帰戦と2度目の登板での“大きな違い”とは
たまたま大谷登板前日までの2試合を現地で観戦したが、下位に低迷しているナショナルズ打線は振り回すだけの荒っぽい打線で、大谷は前回パドレス戦より大胆に攻めていた。投球の組み立ても前回と2度目で大きく変わった。

