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「『何? その打ち方』と笑われても」移籍した広島で30歳のブレイク・木村昇吾が横浜に“恩返し”できたわけ「一軍に残るため…捕手の準備まで」 

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byHideki Sugiyama

posted2025/06/25 11:07

「『何? その打ち方』と笑われても」移籍した広島で30歳のブレイク・木村昇吾が横浜に“恩返し”できたわけ「一軍に残るため…捕手の準備まで」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

トレードされた広島で、セールスポイントの守備と足のみならず、打撃も開眼し30歳のブレイクを果たした木村

「最初は相手からも『何、その打ち方』って笑われましたよ。でも打っていくと、言われなくなる。振ればヒットになるから、嶋(重宣)さんから“打ち出の小槌”と言ってもらえたのは嬉しかったですね」

古巣相手に大暴れで「恩返し」

 最大の見せ場となったのが、またもベイスターズ戦であった。場所は、トレードで離れる際に「ここで活躍することが恩返し」と誓ったハマスタ。2番セカンドでスタメンを張ると、6打数5安打の固め打ちで16点を奪った大勝劇の主役となり、お立ち台に上がる。そこから見上げたスタンドは絶景だった。

「気持ち良かったですね。捨てられたと思ってベイスターズを出ていって、活躍して恩返しすることが多少なりともできたので。ベイスターズのファンからもいっぱい拍手をもらって、『よくやったぞ』という声援もいただきました。

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 ただ、2番という打順も良かったんです。この年、1番の梵(英心)が3割くらいの打率を残していて、バンバン盗塁していくので僕の役割はまずバントを確実に決めること。一つ仕事をしたら気持ちが楽になったし、リラックスして打席に入れたのも大きかったと思うんです」

 気負いもなく、自然体で。それが新フォームに伴って力みのないバッティングを可能とし“小槌化”していく。2戦目は木村のタイムリーとなる三塁打もあって競り勝ち、2日連続のお立ち台に上がると、さすがにスタンドからも「もう打たなくていいぞ」の声が飛んだ。

3連戦で「10本打ってくる」と

 そして3戦目も5打数2安打1打点の活躍で3連勝に貢献。3日連続となるお立ち台の打診があったが、「ベイスターズのファンを怒らせてしまう」と断ったという。3試合で15打数9安打、打率にして6割という最大級の恩返しとなった。

「実はこの前の中日との3連戦で、エースの吉見(一起)から2安打したことが凄く自信になっていました。横浜に行く前、嫁さんに『ヒット10本打ってくる』と言ってるんですよね。結局9安打で1本届かなかったけど、それくらいやれそうな気はしていました」

【次ページ】 30歳でのブレイク

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