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「こんなのクソだよ」「ピッチャーはもう打席に立たない」ドジャース・大谷翔平も被害のMLB“報復死球”問題…現代選手たちの「リアルな声」は? 

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一野洋

一野洋Hiroshi Ichino

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posted2025/06/20 17:03

「こんなのクソだよ」「ピッチャーはもう打席に立たない」ドジャース・大谷翔平も被害のMLB“報復死球”問題…現代選手たちの「リアルな声」は?<Number Web> photograph by JIJI PRESS

サンディエゴ・パドレス戦で右ふとももに死球を受け、痛みをこらえるロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平。実に4試合で8死球の大荒れとなった

 MLBのロブ・マンフレッド・コミッショナーは2020年開幕前、「報復のための故意死球は容認しない」と明言し、その前シーズンにサイン盗みが発覚し、批判されていたヒューストン・アストロズに対する報復を警戒する声明も発していた。5年前からすでにMLBでは、故意死球に対して警鐘が鳴らされていたのだ。

 こうした動きからも明らかなのは、MLB内部での報復死球に対する空気が、かつてとは確実に変わりつつあるということだ。

 選手の声、リーグの方針、ファンやメディアの反応。それぞれが必ずしも一致しているわけではないが、全体として「報復は当然ではない」という認識が、少しずつ主流になりつつある。

報復死球は本当に「当然の報い」なのか?

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 今回の大谷の死球が、意図的だったのか偶然だったのか、それを断定する証拠はない。

 だが、このプレーをこれまでのように野球界が「当然の報い」として受け流すならば、それはMLBが目指すべき未来像とは明らかにずれている。

 いま、アメリカで野球という競技は“伝統”の名を借りた慣習に足を取られるのか、それとも選手と観客の安全を優先するスポーツとして進化していくのかの岐路に立っている。

 報復死球をめぐる文化は依然としてMLBの一部に残っているのは間違いない。だが、その正当性には疑問が突きつけられており、「過去の遺物」として静かにその輪郭を失いつつある。

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