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大学4年間で箱根駅伝初優勝から4連覇「青学大2014年組」中村祐紀と田村和希の出会い「同期の中でバチバチに」「アイツはすごく尖っていた(笑)」
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佐藤俊Shun Sato
photograph byJIJI PRESS
posted2025/06/19 17:00
2014年に入学し、同年度から4年間箱根駅伝を走って4連覇に貢献した田村和希。しかし入学時は同期・中村祐紀の背を追っていた
急成長した田村と「バチバチ」に
中村も高校時代に都道府県駅伝をはじめ、田村と同じレースを走ることがあり、よく知っていた。
「大学に入って上半期は、高校時代の記録や、関東インカレで入賞したり、自分にアドバンテージがあったんです。でも、1年の駅伝シーズンから田村が上がってきたんです」
1年目の箱根駅伝の登録メンバーには中村とともに田村も入った。中村はこう回想する。
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「(11月の)世田谷ハーフで7位になり、メンバーに入って、もちろん走る準備はしていましたが、メンバーを見ると先輩方と実力差があるし、まぁ走れないだろうなっていうのは思っていました。
そのなかで田村が4区を勝ち取ったことには悔しさはあったんですけど、妥当だと思っていました。でも、区間賞でチームの優勝に貢献したことで、同期の中では田村と格差というか距離が生まれ始めて、そこからはバチバチになっていきました」
「田村はAチームだな」
田村は春先からずっと好調だった。4月、世田谷記録会の5000mで14分12秒をマークし、いきなり9秒も自己ベストを更新した。初ハーフマラソンとなった世田谷ハーフでは、63分42秒のタイムで、2位に入った。
「入学してからずっと目の前のことに集中し、上の世代を見ていました。神野(大地)さん、久保田(和真)さん、小椋(裕介)さん、ひとつ上には大エースの一色(恭志)さんがいたので、その先輩たちを必死に追っていた感じです。
もちろん箱根には1年目から出たいと思っていました。駅伝シーズンに入って調子が良い中、世田谷ハーフで結果が出たので、僕のなかでは箱根のメンバーに入るためにやり切った手応えがありました」
田村の走力を、先輩たちも認めていた。世田谷ハーフでは4年でキャプテンの藤川(拓也)にラストで負けてしまったが、その走りを見た上級生たちから「田村はAチームだな」と言われた。田村は、藤川に認められたことがうれしかった。それから上級生とのコミュニケーションが増え、チーム内で田村の存在感は増していった。

