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大学4年間で箱根駅伝初優勝から4連覇「青学大2014年組」中村祐紀と田村和希の出会い「同期の中でバチバチに」「アイツはすごく尖っていた(笑)」
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佐藤俊Shun Sato
photograph byJIJI PRESS
posted2025/06/19 17:00
2014年に入学し、同年度から4年間箱根駅伝を走って4連覇に貢献した田村和希。しかし入学時は同期・中村祐紀の背を追っていた
箱根に向けて昂る中村だったが
「本来は、お前を使うと言われたらワクワクするじゃないですか。でも、10人の枠のうちひとつを僕が取ったことで、残りは9枠しかないわけです。田村も選ばれるんですけど、僕と田村では全然わけが違う。田村は前年の区間新の男で、僕はパッと出じゃないですか。ほんまに走れるんかっていう見方というか、プレッシャーもあって、なぜかわからないんですが調子がちょっとずつ落ちていったんです」(中村)
区間配置は決定していなかったが、アップダウンのある厳しいコースの世田谷ハーフで勝ったことや、他のメンバーの組み合わせを俯瞰すると復路が現実的だった。
「本番近くになって、9区と言われました。区間配置が決まったらその人を応援するというのが青学大のいいところで、先輩たちも思っていることがたくさんあったと思うんですけど、『がんばってこいよ』と背中を押してくれる人が多かったです」
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調子はもうひとつだったが、中村のやる気は漲っていた。
「中村はすごく尖っていた(笑)」
ようやく箱根の切符を掴んだ中村から、田村は強烈な「反骨心」を感じていたという。
「中村は今はだいぶ丸くなったんですが、当時はすごく尖っていました(笑)。他の選手が結果を出すと反骨心丸出しで、次は俺が倍返しするみたいな。監督にもよく『練習はいいけど本番で走れないな』ってイジられていたんですけど、何クソって思って走るタイプでしたね。記録を出したけど、競技会になんで出られないんだって怒った時もあって、そういう競技への熱い言葉を聞くと、自分もがんばらないといけないと思いました」
なかなか結果が出なかったり、同級生が階段を上がっていく姿を見ると、メンタルが落ちて、向上心を持てずに練習をサボったりする選手もいる。だが中村に関しては、そういう心配はまったくなかった。実際、中村は腐らずに走り続け、世田谷ハーフで結果を出して箱根メンバー入りをつかんだ。

