巨人・長嶋茂雄「顔も見るのも嫌」“対戦打率.193”大の苦手は村山実でも江夏豊でも星野仙一でもない…“一茂とも対決”唯一の投手は？ 

　1968年にシーズン最多の401奪三振の記録を作った剛腕は、長嶋からも54三振を奪っている。先輩の村山実から「俺のライバルは長嶋や、お前のライバルは王やぞ」と言われて王貞治をライバル視していたが、長嶋も通算打率以下の.274と抑えている。敬遠が1回もないのが江夏のプライドかもしれない。

長嶋と握手する江夏　©Sports Graphic Number

鈴木隆*（大洋）1958-65
143打52安13本39点
33球（9）12振 率.364
安仁屋宗八（広島）1964-74
199打51安12本39点
12球（1）31振 率.256
秋山登（大洋）1958-67※
145打48安4本16点
23球（6）13振 率.331
石戸四六（国鉄・サンケイ・アトムズ・ヤクルト）1962-70
137打47安8本33点
9球（2）7振 率.343
大石清（広島）1959-66
150打44安11本24点
25球（8）20振 率.293

　最も打率が高かったのは鈴木隆。大洋の左投手。長嶋と同期入団で66年に東京（現ロッテ）に移籍したが、与四球は最多、敬遠は最多タイ。長嶋にとっては本当にお客さんだったのだ。

権藤「あの人には打ちまくられた。三振はほとんど」

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大羽進*（広島）1959-71
157打43安5本16点
23球（4）12振 率.274
外木場義郎（広島）1965-74※
171打42安10本33点8球（0）9振 率.246
小川健太郎（中日）1964-70
123打41安7本31点
11球（0）17振 率.333
山下律夫（大洋）1967-74
127打39安7本32点
15球（1）9振 率.307

　広島の外木場義郎は、NPB最多タイの「3度のノーヒットノーラン」で知られるが、3回目のノーヒットノーランは1972年4月29日、広島市民球場の巨人戦。この日は長嶋も3打席ノーヒットに抑えている。V9時代の巨人相手に記録したのは価値が高い。長嶋は外木場の決め球で、今で言う「パワーカーブ」を苦手にしていて、通算打率も.246と低い。

権藤博（中日）1961-68※
105打38安7本17点
15球（5）6振 率.362
渋谷誠司*（国鉄・サンケイ・アトムズ）1962-69
113打37安14本29点
29球（9）11振 率.327
島田源太郎（大洋）1958-73
116打36安3本17点
26球（5）14振 率.310
バッキー（阪神）1962-68
136打36安7本28点
17球（3）15振 率.265
稲川誠（大洋）1962-68
110打35安9本18点
24球（1）12振 率.318

　中日のエースだった権藤博は、長嶋が亡くなってからラジオで「あの人には打ちまくられました。三振はほとんどとれなかった」と話した。実際に対戦成績は打率.362、三振は105打数でわずかに6。確かにそういう印象になるだろう。

「顔を見るのも嫌」対戦打率1割台、大の苦手とは

　どのエース級からもおしなべて打っている長嶋だが――対戦打率1割台と苦しんだ投手がいる。

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