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「もう少し…」長谷部誠41歳ドイツでの“7時出勤→19時退勤”コーチ生活を語る「上手くいかないことがたくさん…すごく嬉しい」なぜなのか 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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posted2025/06/13 11:04

「もう少し…」長谷部誠41歳ドイツでの“7時出勤→19時退勤”コーチ生活を語る「上手くいかないことがたくさん…すごく嬉しい」なぜなのか<Number Web> photograph by NumberWeb

大阪・関西万博ドイツパビリオンで取材に応じた長谷部誠。コーチとしても当地で戦い続けるからこその「リアルな言葉」とは

「彼らのいたチームは今シーズン、インターナショナルのゲーム(CLなど)がなかったことも影響として、1つはあると思いますけど……」

 ともすると辛口に聞こえるような断りを入れたうえで――長谷部は冒頭の言葉からこう続けた。

「自分も16シーズンくらいドイツでやりましたが、(全34試合中)33試合に出場したときも、出場停止で1試合出られなくて、僕は全試合に出たことがないので。そういう意味での難しさというのは、僕もすごく理解しています」

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 そして、このようにも強調した。

「もちろん体質などの影響もあるかもしれませんけど、良い選手の条件としてはやはり『怪我をしない』こと。それは1つ大きくあるなと」

 これはドイツサッカー界で生きる長谷部が感じる、リアルな価値観に基づく評価だ。堂安への評価が、日本よりもドイツの方が高いのはいくつも理由がある。その一つが〈ケガでほとんど欠場しないタフさ〉への評価の隔たりである。

長谷部の言葉には説得力があるワケ

 さらに先輩として、長谷部はこう付け加えることも忘れなかった。今後は日本代表の常連にもなっていくのが確実な佐野を筆頭に、ブンデスリーガで名を上げようとする後輩たちへのメッセージが以下のようなものだ。

「代表選手となれば(リーグ戦と欧州カップ戦に加えて)代表戦もあるので。なかなか、選手に負担はかかっているなと思いますけど……」

 長谷部の言葉には説得力がある。彼は、代表に参加することでコンディションを大きく落とすようなことはなかった。ドイツでのシーズン中に日本で行われる代表戦の1週間前から、1日につき約15分ずつ早く寝ることで、時差の影響を減らすような取り組みをコツコツと重ねるようなタイプだったからだ。

 ただし代表引退後、パフォーマンスの質は上がった。代表活動に区切りをつけたロシアW杯直後の2018-19シーズン、老舗スポーツ誌『キッカー』によってシーズンのベストイレブンに選ばれたのが何よりの証拠だろう。

名波コーチと走り、まるでシャビ・アロンソのように

 さて、第1回で触れた指導者・長谷部について話を戻そう。コーチとなってからも、彼は色々な意味で走り続けている。ちょうど1年前のインタビュー時、こう口にしていた。

「現役を引退したのに、なんで俺はこんなに走るのだろうというくらい、ランニングをしているかな」

 コーチとしての最初のシーズンが始まってもそれは変わらなかった。例えば代表合宿中もそうだ。

【次ページ】 毎朝7時にクラブハウス着、PCと格闘しつつ19時まで

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