「もう少し…」長谷部誠41歳ドイツでの“7時出勤→19時退勤”コーチ生活を語る「上手くいかないことがたくさん…すごく嬉しい」なぜなのか 

　コーチになって、思うようにいかないことばかりだし、コーチにしか求められない考え方をどう受け入れるか頭を悩ませることもある。例えばフランクフルトでは、「勝つことよりも選手を成長させることを優先するように」と首脳陣から伝えられている。

　クラブの方針に異を唱えるつもりはないものの、長谷部はこう考えることもある。

「試合に勝ち続けることで得られる成長もあるんじゃないか？」

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　フランクフルトのセカンドチームは、今シーズンの4部リーグで16位に終わり、5部への降格が決まった。長谷部を含めて、コーチ陣は基本的に来シーズンもそのまま残るのだが、それは成績よりも成長を重視するという育成年代特有の考えがあるから。ただ、だからこそ、長谷部は強調する。

「指導者としてのキャリアを始めると、（一人の社会人として）上手くいかないことが、久しぶりに、たくさん出てきたんですよ。それが、自分にとってはすごく新鮮で。『またこういう経験ができているのは、すごく大事で、すごく嬉しいことだな』と思うので。寝る間も惜しんでやるくらいが当たり前だと思うし。本当に恵まれている中でやれているので、大変だと思うことはなく、やりがいしかないですね」

取材ではギラギラ感を隠そうともしなかった

　大阪・関西万博のドイツパビリオンでのトークショーでは〈陽キャ〉のように周囲を盛り上げながら、場所を移して行われた取材の時間には、ブンデスリーガで選手としての戦いを始めたころのようなギラギラ感を隠そうともしなかった。そんな振れ幅の大きなところにこそ、長谷部の人間的な成熟と、コーチとしての明るい未来を感じずにはいられなかった。〈第1回からつづく〉