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「『オジさんが頑張っているんだから』と思ってほしい」…宇都宮ブレックス“Bリーグ最多”3度目の戴冠を生んだ「35歳の守備職人」の波乱万丈
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ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byTOCHIGI BREX INC.
posted2025/06/14 17:01
3度目のBリーグ制覇を果たした宇都宮ブレックスで活躍する35歳の遠藤祐亮。なぜ「いぶし銀」のベテランはチームの信頼を集めるのか
遠藤が見せたディフェンスをお手本に、相手エースの体力を粘り強く、削っていく。もちろんそんな状況にあっても、ローが驚異的なパフォーマンスを見せ、そのディフェンスを打ち破ってくることがあった。それでも気持ちを切らさず、辛抱強くプレッシャーをかけ続けた。
そして、成果は出た。
キングスに敗れたGAME2では、勝負をわける終盤にローが大車輪の活躍を見せたが、GAME3では、後半になって彼の足が止まった。それは以下のスタッツを見れば一目瞭然だ。
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・GAME2:後半17得点(14分41秒出場)
・GAME3:後半5得点(16分53秒出場)
GAME3の後半、ローのプレータイムは2分12秒も伸びたのに、得点は12点も減ったのだ。
「粘り強く、ディフェンスで我慢して、泥臭く、相手のエースの体力を削る。そこが『ブレックスらしさ』なので」
ディフェンスのリーダーとして、「ブレックスらしさ」を体現することで優勝に貢献した。だから、遠藤は3度目のタイトル獲得を喜んだのだ。
そして、終わってみれば、Bリーグの歴史上でただ一人、優勝した3度のファイナル全てでスタメンに名を連ねた選手となった。
「それは誇りに思います。ただ、僕がそういう風になると誰も予想していなかったと思います」
なぜ「いぶし銀」がスタメンを任され続けるのか
では、立場を変えながらも、毎回のように優勝を決める試合でスタメンの重責を託されてきたのは何故なのだろうか。
実は、遠藤はもともとオフェンスの力を買われて、ブレックスのセカンドチーム(D-RISE)に入った。その後、ブレックスに昇格したものの、レベルの上がったステージでは、本来のオフェンス力を見せられなかった。
そんなとき、プレシーズン中の台湾のチームとの試合で、どうしても抑えられない選手がいた。そこでブレックスの2度目の優勝時のHCである安齋竜三(※当時はアシスタントコーチ)から推薦され、その選手のマークについた。そして、素晴らしいディフェンスを披露したのをきっかけに、チーム内での存在感を高めてきた。
そんな苦労人だからこそ、チーム内外を問わず、後輩から様々な相談を受けてきた。
「今はチームで出番がないので移籍しようと考えています。遠藤さんはどう思いますか?」
遠藤の答えはいつも決まっている。そしてその答えにこそ、彼が他の誰も成しえなかったことを成し遂げられた理由がつまっていた。
<次回へつづく>

