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ケガ人続出ドジャースでベッツの「薬指骨折」が批判されないワケは? 米老舗スポーツメディア「公平な批判は遠慮なくするが…」日米報道の“差”
text by

一野洋Hiroshi Ichino
photograph byGetty Images
posted2025/06/06 06:01
5月末に自宅でのアクシデントで左足薬指を骨折したドジャースのムーキー・ベッツだが、わずか4試合の欠場だけで試合に復帰した
アメリカのプロスポーツ選手の契約には明確な禁止項目が列挙されていることも多い。
たとえば、危険行為の禁止(バイク、スカイダイビング、スキーなど)、違法・反社会的行為の禁止(薬物、銃所持、暴力など)、虚偽報告の禁止(ケガや行動についての偽りの申告)などだ。違反が発覚すれば、ボーナスの返還、報酬没収、最悪の場合は解雇といったペナルティが即座に科される。こうした“ルールの明文化”と“厳格な罰則”が、アメリカにおけるプロ選手の意識形成を支えている。
逆に言えば、明文化されたルールに反さず、当人の悪意のない過失であれば、そこにはかなり寛容とも言うことができる。
日本で重視されがちな“プロ意識”
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対して日本では、過失であっても「自己管理の甘さ」――ひいては“プロ意識”の有無が問われやすい。
2004年、当時福岡ダイエーホークスの杉内俊哉は、登板後にベンチでイスを殴り両手を骨折。600万円もの高額な罰金処分に加え、メディアと世間の厳しい視線が降り注いだ。感情の爆発や不注意であっても、「プロらしくない」ふるまいが見られれば「失格」とみなされるのが日本スポーツ界の空気なのかもしれない。
もちろん杉内のように“物に当たる”行為と、ベッツのような“ただの不注意”とを全く同列に語ることはできない。だが、日本では往々にしてその境界が曖昧になる。競技は違えど、競泳のリオ五輪金メダリスト・萩野公介が2015年に自転車で転倒して骨折し、世界選手権を欠場した際にも「過失」の比重が大きいにもかかわらず、日本国内では批判的な声が多かった。

