メジャーリーグPRESSBACK NUMBER

ケガ人続出ドジャースでベッツの「薬指骨折」が批判されないワケは? 米老舗スポーツメディア「公平な批判は遠慮なくするが…」日米報道の“差” 

text by

一野洋

一野洋Hiroshi Ichino

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2025/06/06 06:01

ケガ人続出ドジャースでベッツの「薬指骨折」が批判されないワケは? 米老舗スポーツメディア「公平な批判は遠慮なくするが…」日米報道の“差”<Number Web> photograph by Getty Images

5月末に自宅でのアクシデントで左足薬指を骨折したドジャースのムーキー・ベッツだが、わずか4試合の欠場だけで試合に復帰した

 杉内や萩野のケースは一例だが、日本ではミスの背景や人間性よりも「プロとしての自覚が足りない」という定型句で断罪されるケースも多い。そこには報道のスタンスというより、“世論”に近い空気感があるかもしれない。

 140年以上続く米老舗メディア『スポーティングニュース』で編集長を務めるベンソン・テイラー氏は、アメリカの報道文化についてこう語る。

「アメリカのジャーナリストは一般的に、公平な批判であれば遠慮なく行います。それは選手に対しても、チームやオーナーに対しても同様です。特に、最終的な意思決定を下すのはオーナーや組織側であるため、そちらへの批判の方が強くなりがちですね。

ADVERTISEMENT

 とはいえ、選手が批判されるべき状況であれば、遠慮なく批判します。MLB、ESPN、LAタイムズのような大手メディアは、単なるクリック稼ぎで報道することはありませんから」

 裏を返せばそういった「明文化された公平性」とは異なる「世論」や「空気感」に、良くも悪くも左右されにくいのが米国のスポーツ報道なのかもしれない。

骨折でも…わずか4試合で復帰のベッツ

 そして、何より選手に問われるのは「結果」と「誠実さ」だ。

 ベッツは今回、左足の薬指を骨折しながら、わずか4試合を欠場しただけで現場に戻ってきた。もし彼がすぐに以前の活躍具合を取り戻せば――このエピソードは、すぐにファンの間で笑い話として語り継がれるだろう。

 そしてそのニュースはいま――復帰戦でいきなり2安打を放ったことで――「さすがベッツ」という称賛に書き換えられつつあるのかもしれない。

#1から読む
「ちょっとしたドジだ」ドジャース・ベッツの“薬指骨折”は「プロ意識の欠如」なのか?…既報で感じた日米スポーツメディア“文化の違い”とは

関連記事

BACK 1 2 3 4
#ロサンゼルス・ドジャース
#ムーキー・ベッツ
#フレディ・フリーマン
#杉内俊哉
#萩野公介
#トレバー・バウアー
#フェルナンド・エイバッド
#プラキシコ・バレス
#アーロン・ブーン

MLBの前後の記事

ページトップ