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大谷翔平30歳vsジャッジ33歳「打球速度は大谷が上だが…なぜ飛距離はジャッジ?」今季44ホームラン徹底比較で“2人の違い”がクッキリ
posted2025/06/05 06:02
大谷翔平とアーロン・ジャッジ。日米のホームランアーチストは今季もすさまじい成績を叩き出している
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広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Harry How/Getty Images
大谷翔平とアーロン・ジャッジ。大谷がエンゼルスにいた頃は毎年のように「MVP論争」が起きていたが――大谷がドジャースに移った今は、ともにリーグを代表する大打者として君臨している。
従来、アメリカン・リーグだけが導入していたDHをナショナル・リーグも導入したのは2023年のこと。FA年限が迫っていた大谷はDH制のあるリーグにしか行けない。そのこともナ・リーグのDH制導入に影響したといわれている。事実、大谷は24年、ナ・リーグのドジャースに入団した。
ア・ナ両リーグでの「ユニバーサルDH」が実現してから、MLBでは「リーグをまたいだ選手の比較」が多くなった。23本塁打でナ・リーグ1位のドジャース大谷と、21本塁打でア・リーグ2位のヤンキース、ジャッジも然りである。
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今季、ドジャースとヤンキースのレギュラーシーズンでの顔合わせは、5月30日から6月1日までドジャースタジアムで行われた3連戦のみ。両リーグホームラン王の顔合わせは最大の見ものだったが、ジャッジは3本塁打、大谷は2本塁打と期待にたがわぬ活躍だった。
もう23発の大谷vs4割での三冠王が狙えるジャッジ
今季の打撃成績を徹底比較しよう(以下すべて現地時間6月2日終了時点)。
《大谷翔平:30歳》
58試233打68安23本39点
11盗37球68振 率.292 OPS1.047
《アーロン・ジャッジ:33歳》
59試220打86安21本50点
4盗39球57振 率.391 OPS1.248
今季のジャッジは歴史的な高打率をキープしている。本塁打はマリナーズの強打の捕手、カル・ローリーの23本に次ぎ、打点はレッドソックスのラファエル・デバースの52打点に次ぐ2位。1941年のレッドソックス、テッド・ウィリアムス以来84年ぶりの「打率4割」をマークしたうえでの三冠王という、21世紀に入って以降では破天荒な記録さえ狙える。33歳のジャッジはキャリアのピークに差し掛かっているといえよう。
これに対して大谷は、ここ3年キープしているリーグトップクラスの打撃成績を維持している。その上でオールスター戦後に投手としての復帰も控えており、いわば「通常運転」と言えよう。しかし大好きな6月に入りさらに調子を上げる可能性がある。レギュラーシーズンでの直接対決はもうないが、ジャッジの成績を横目で見ながら、大谷は対抗心を燃やすのではないか。
今季の44ホームランを徹底比較してみると
ホームランバッターとしてのジャッジと大谷はどのような特徴があるのだろうか?

