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大谷翔平30歳vsジャッジ33歳「打球速度は大谷が上だが…なぜ飛距離はジャッジ?」今季44ホームラン徹底比較で“2人の違い”がクッキリ
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広尾晃Kou Hiroo
photograph byHarry How/Getty Images
posted2025/06/05 06:02
大谷翔平とアーロン・ジャッジ。日米のホームランアーチストは今季もすさまじい成績を叩き出している
2人の今季の本塁打傾向を見ていこう。
《本塁打方向》
・大谷翔平23本
右11本 右中間2本 中堅5本 左中間2本 左3本
・ジャッジ21本
右6本 右中間4本 中堅4本 左中間6本 左1本
大谷は左打者、ジャッジは右打者。大谷は右方向に引っ張る本塁打が13本、左に流す本塁打が5本と、引っ張った当たりが多いが、ジャッジは左方向に引っ張る打球は7本、右に流す打球が10本と、むしろ反対方向へのホームランが多く、少しタイミングを遅らせるなど円熟した技術を感じさせる。
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ただし大谷も5月に入ってから流し打ちの本塁打が増えている。両者ともに「反対方向への本塁打」は、好調のバロメーターだ。打球方向にも注目したい。
打球速度は大谷が上…でもなぜ飛距離はジャッジ?
《投手の左右》
・大谷翔平:右投手19本 左投手4本
・ジャッジ:右投手14本 左投手7本
右打者のジャッジの方が、左投手からの本塁打がやや多いことがわかる。
《飛距離と打球速度》
・大谷翔平
打球速度=平均176.0km/h、最高189.7km/h
飛距離=平均121.7m、最長136.6m、最短110.3m
打球角度=平均29.0度
・ジャッジ
打球速度=平均171.8km/h、最高189.4km/h
飛距離=平均122.1m、最長142.6m、最短99.3m
打球角度=平均31.3度
身長190.5cm、体重95kgの大谷に対してジャッジは200.7cm、128kgと大谷よりさらに大きいが、打球速度では大谷の方が上回っている。大谷が5月5日のマーリンズ戦でアルカンタラから打った189.7km/hの一発は今季MLBの「最速本塁打」になっている。ジャッジは打球速度100mph(161km/h)以下の本塁打が2本あるが、大谷はない。少なくともスイングスピードでは、大谷がジャッジを上回っているといえよう。
しかし飛距離はジャッジの方が上。それは打球角度が大きいからだ。ジャッジは2017年には打球速度が194.8km/hを記録していたが、最近は190km/hに届かない。パワーは全盛期から見ればやや衰えたが、技術でスタンドに運ぶようになっているのだ。
円熟味を増したジャッジと、これからピークに差し掛かろうとする大谷。2人は今季、どんな成績を残すだろうか――直接対決は終わったが、これからの2人のデッドヒートに注目したい。
大谷は6安打中4つが本塁打の凄まじさ
以下、現地5月27日から6月2日まで、大谷ら日本人メジャーリーガーの成績とともに現状を見ていく。


