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メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
「またゼロか」の評価狙って…パドレス・松井裕樹メジャー2年目の戦略的変化「スプリットは落ち幅10cm増」目指す“勝ちパターン”入りへの道筋
text by

山田結軌Yuki Yamada
photograph byYuki Yamada
posted2025/06/01 11:05
リラックスした表情を見せる松井裕樹
最大の武器に手を加えた理由
メジャーのクローザー、勝利継投のセットアッパーは100マイル(約161km)前後を投げるパワーピッチャーがひしめく。松井のいう「うわ、すごかったな」という投球とは、チームメートのロベルト・スアレスらMLBを代表する守護神の投球スタイルだ。ストライクゾーンに力勝負をする。間近でパワーピッチャーをみてきたからこそ、己を分析し、どのように成長すれば役割が“昇格”するか試行錯誤する。その中で導き出した答えの一つが、ウイニングショットの改良だった。
最大の武器だったスプリットの球速を落とし、落ち幅を増やした。つまり、空振りを奪う確率を上げる球種としてフォークボールに仕上げた。三振が求められるシーンで自信を持って投げられるボールに磨き上げている。
データが示す2年目の進化
「去年は、空振りにならない感じがすごくあった」
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スプリットとフォークボール。二つの落ち球を備えて、オープン戦に臨んだ。
「スプリング・トレーニングで(右打者に)スプリットを拾われてレフト線に残った長打が2本ぐらいあった。あれが結局、フォークの球速だとたぶん3マイル、4マイル(約4.8~6.6km)遅いと、それがファウルになる」
オープン戦10試合(9回2/3)を投げて導き出したのは、落ちる変化球はフォークボールに一本化することだ。スプリットの球速は2024年平均が86.6マイル(約139km)から、フォークボールに改良した今季の平均球速は83.7マイル(約134km)へ、約5kmの減速。データサイトの「ベースボール・サバント」によると落ち幅の平均が昨季は79cm、今季は90cmと約10cm増えている。


