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「またゼロか」の評価狙って…パドレス・松井裕樹メジャー2年目の戦略的変化「スプリットは落ち幅10cm増」目指す“勝ちパターン”入りへの道筋
text by

山田結軌Yuki Yamada
photograph byYuki Yamada
posted2025/06/01 11:05
リラックスした表情を見せる松井裕樹
「レバレッジ」という指標
MLBには救援投手がいかに厳しい場面で登板したか、を示す数値がある。点差や得点圏で走者の有無などを反映させた“重圧の度合い”を「レバレッジ」と表現している。松井の場合は今季、「ハイ・レバレッジ(僅差でプレッシャーの大きな場面)」で7試合(10打者)、「ミディアム・レバレッジ(中程度のプレッシャー)」で7試合(10打者)、「ロー・レバレッジ(点差がある場面)」では20試合(63打者※データはいずれも5月29日時点)。
局面的に勝敗を直接左右する起用は少ない、ということがデータで示されている。断っておくが、投げる投手にとって“重要ではない場面”などない。すべての投手が打者を抑え、好結果を出すために投げる。ただ、ここでは点差、場面、走者の状況などを総合して「レバレッジ」の表現を使った。
チームからの信頼を高め、より重要度の高い場面で名前をコールされるリリーフ投手になる。そのためには、着実に結果を出し続けるしかない。
「どんな内容でもゼロで…」
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「まずゼロ(無失点)が、中継ぎにとって最優先事項。どんな内容でもゼロで帰ってくるっていうのを積み重ねて、またゼロだ、と。苦しくてもゼロを重ねて、試合で使ってもらえる場面がどんどん増えて、ちょっとずつ良くなっていけばいい」
チーム防御率3.61はナ・リーグ3位(※5月29日終了時点)。好調な投手陣の一角を松井も担っている。投手陣の大黒柱であり、精神的支柱のダルビッシュ有は右肘の炎症で開幕から負傷者リスト入りしている。エース不在にも関わらず、好成績の投手陣。その陰には、投手と捕手の絆を強くしているバッテリーの“合言葉”がある。〈つづく〉

