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自作自演のピンチ脱出劇に新庄剛志監督が絶妙ニックネーム「明日から“さいこう ゆきや”に」日本ハム齋藤友貴哉の告白「自分が生まれ変われた試合」
text by

酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph bySANKEI SHIMBUN
posted2025/06/21 11:02
ピンチを脱出して両手をつき上げる日本ハム・齋藤友貴哉投手
「田中正義と切磋琢磨していきたい。競争になりますし、胸を借りる気持ちで戦っていきたい。田中正義は大学の頃から自分のなかではスーパースター。無名からスタートした自分が同じ土俵で戦えているのはすごくありがたいことです。そこに喜びを感じながら投げていきたいと思っています」
齋藤にとって同学年の田中は仰ぎ見る存在だった。創価大で活躍した田中は16年のドラフト時、最速156kmを誇る大学No.1右腕として5球団が競合した逸材だった。片や、自身は桐蔭横浜大でプロ志望届を提出しながら指名されず、社会人野球に進んだ。
侍ジャパンのメンバーにも選出
そんな剛腕と肩を並べるようになったのだ。齋藤は開幕前の3月、侍ジャパンのメンバーにも選ばれ、強化試合のオランダ戦で157kmをマークし、京セラドーム大阪をどよめかせた。1回を完璧に抑える快投で存在感を示した。苦節7年目で確かな輝きを放っていた。
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143試合の長丁場においてリリーフ陣はチームの命綱であり、層が厚いほど安定して戦える。荒波を切り裂く帆船の甲板にはいくつものマストがたなびく。エースの伊藤大海がメインマストの役割を担うならば、勝敗の命運を託されたダブルストッパーはその前後に聳えて船の横滑りを防ぐフォアマスト、ミズンマストの役回りだと言っていい。
穏やかな凪のときも、時化がやって来ても、前へ前へと大海原を往く。
<第1回から続く>

