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「もう最悪な気分です」イギリスGPで転倒…小椋藍が明かした本音「オレってダメなんじゃないか…でもこんな気分になったのは初めてじゃない」
posted2025/05/28 17:00

イギリスGP初日のフリー走行で転倒し怪我を負ってしまった小椋藍が、その胸のうちを明かした
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遠藤智Satoshi Endo
photograph by
Satoshi Endo
椅子にもたれかかるように座る小椋藍が「ああ、もう最悪な気分です」と語った。めったに弱音を吐くことがない藍だけに「どうした?」と聞くと「なんかうまく言えないけど……」と言葉を切り、しばらく考えた後「オレってだめなんじゃないかって……」と、心底がっかりしたような表情でつぶやいたのだ。
5月下旬、シルバーストーンで開催されたイギリスGP初日のフリー走行で、藍はセッション終盤に高速左の2コーナーで激しく転倒した。マシンから投げ出された藍はアスファルトランオフエリアを激しく転がり、アスファルトから砂利に変わったグラベルでやっと身体が止まった。どのくらい路面を、滑り転がったのだろうか。100メートルほどではないかと思うのだが、やっと立ち上がった藍は、右足を引きずるようにゆっくりグラベルを歩いてコースを出た。
その3時間半後、藍は土曜日に行われる予選の組み分け(Q1&Q2)を決めるプラクティスに挑んだ。しかし、腫れ上がった右膝は思うように曲がらず、コースインしてそのままピットへ戻り走行を断念。そのまま医務室へ向かう。診察の結果は骨折などの症状は確認できず、出場許可を意味する「メディカル・フィット」。しかし、腫れ上がった右膝の状態は良くなく、土曜日の午前中のフリー走行で大会に出場するかどうかを判断しようと藍は決めていた。
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「プラクティスはバイクにちゃんと乗れるかどうかを確認する感じでコースインしたのだけど、ステップに足を載せるのがやっとの状態。とても乗れる状況じゃないというのはすぐにわかったし走るのをやめた。痛みはないのだけど、なんか“詰まる感じ”がして膝が曲がらないんですよね」
「無理してでも走りたい?」の問いに小椋藍は…
腫れあがった膝。骨折やじん帯などに損傷は認められなかったが、サーキットの医務室の設備ではこまかな骨折などはわからない。もしかしたら骨折しているのかもという疑いはあったが、とりあえず、応急処置をして土曜日の朝を迎えることにした。そのときに「どうなの? 藍としては無理してでも走りたい?」と聞くと、こう答えてくれた。