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獅子の遺伝子BACK NUMBER
「91敗より負けることはない」西武の歴史的低迷→今季快進撃の秘訣は西口文也監督の“飄々”強心臓?「僕、メンタル強いですよ(笑)」
text by

佐藤春佳Haruka Sato
photograph byWataru Sato
posted2025/05/24 11:02
昨季の大低迷から一転、今季は強力先発陣を中心に接戦を守り切る好調な戦いぶりを見せている西武・西口文也監督に話を聞いた
好調のなかで感じる難しさ
昨シーズン、打線は12球団最低のチーム打率.212と低迷したが、今シーズンはここまで.235(5月23日現在)。得点圏打率(.246)や長打率(.317)も改善し、接戦で競り勝つ試合が増えている。4月下旬から5月にかけては2年ぶりの6連勝。開幕から約2カ月、采配を振るうなかで監督としての楽しさ、難しさの両面を実感しているという。
「迷う時はいくつかありますよ。攻撃の方が多い。場面、場面でどういうサインを出そうか、というところですかね。でも一番難しいのはピッチャーの交代です。ピッチングコーチと話し合いながら最終的には自分が決めていますが、誰を行かせるか、交代のタイミングはやっぱり難しい」
「投手王国」再建の立役者である豊田清投手チーフコーチに加え、攻撃面では今季からヘッドコーチに鳥越裕介氏、野手チーフ兼打撃コーチに仁志敏久氏を招聘し、盤石の体制で新監督を支える。
監督として見た“ノーノー未遂”
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投手交代と言えば、4月18日のソフトバンク戦ではこんなことがあった。エースの今井達也が7回1死までノーヒットノーラン。被安打0のまま四球絡みで1点を失い8回117球で交代後、平良海馬との継投で「ノーヒットワンラン」の勝利を奪った。現役時代は3度の“ノーヒットノーラン未遂”を経験した西口監督は、ベンチからどのように見守っていたのか。
「ひょっとしたら……と思っていました。あれは見てる方がしんどい(笑)。自分で投げてる方が楽ですよ。僕の場合、抑えてやろうと思って投げていなかったから。いつか打たれるやろ、って思いで投げていって自分のことを追い詰めなかったからね。結果、ほんまに打たれたけどね(笑)」
仮に同点のまま今井が9回までノーヒットノーランを継続していたら、投手交代の決断はどうしていたのだろう。

