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ボクシングPRESSBACK NUMBER
井上尚弥に求められるのは「凄いライバルとの闘い」“東洋の激闘王”亀海喜寛の見果てぬアメリカンドリームと「強い選手とやりたい」井上への共感
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byNaoki Fukuda
posted2025/05/20 11:03
亀海喜寛とヘスス・ソト・カラスとの第1戦。この激闘が「ザ・リング」誌のファイト・オブ・ザ・イヤー候補となり、亀海はアメリカでの評価を上げた
常に強者との戦いを求める井上尚弥の姿勢を、亀海は「リスペクトしています」と語る。自身が届かなかった「ザ・リング」のファイト・オブ・ザ・イヤーにも、2019年にノニト・ドネアとの第1戦で選ばれている。これだけキャリアを積み上げても強さに対する欲求が薄まることはない。今年9月に元世界王者ムロジョン・アフマダリエフ、年末には1階級上のWBA世界フェザー級王者ニック・ボール、そして来春にはWBC世界バンタム級王者中谷潤人とスーパーバンタムでの対戦が予定されている。
”Aサイド”の男、井上への期待
井上は言うまでもなくAサイドだ。そのポジションであっても現状に満足することなく、一握りの“ウルトラAサイド”に向かおうとしている。ラスベガスでの戦いでも高い評価を受けたことで、アメリカでの試合が今後増えてくる可能性もある。
亀海は今後の井上にこう期待する。
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「(マニー・)パッキャオにしたって、(マルコ・アントニオ・)バレラ、(ファン・マヌエル・)マルケス、(エリック・)モラレスら、凄いライバルたちとしのぎを削ってきたからあれだけのボクサーになった。
井上選手がそういうライバルに出会えて、凄い試合になったらステイタスも、ファイトマネーもとんでもないことになってくると思うんです。実力だってさらに磨きが掛かるはず。ひょっとしたら一番のライバルが中谷選手になるかもしれない。日本人対決が、アメリカからいや全世界から注目される時代が来たら、それこそ凄いことになるんじゃないですか」
本場アメリカを熱狂させてきた亀海だからこそ、ラスベガスで観客の心をつかんだ井上の心意気も、高い志も真に理解できる。そして“ウルトラAサイド”に向かうための準備が整ったことも――。
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