- #1
- #2
ボクシングPRESSBACK NUMBER
井上尚弥も乗せられた? 「気持ちが攻撃に振り切れてしまう」米国でのファイトを最も知る男・亀海喜寛が見た井上戦「歓声が日本と段違いなので」
posted2025/05/20 11:02

2014年、ロバート・ゲレーロとの一戦での亀海喜寛。アメリカでは自然と“激闘型”のファイトをしてしまったという。福田直樹氏によるこの写真は全米ボクシング記者協会の2014年最優秀写真に
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Naoki Fukuda
本場を熱狂させた王者のファイト
井上尚弥のファイトに、聖地ラスベガスが熱狂した。
アメリカの権威あるボクシング専門誌「ザ・リング」の公式サイトに掲載された試合のレポートには「War(熱戦)の第2波がぼっ発するとシンコ・デ・マヨの週末に叫ばれた“メキシコ”のチャントは“イノウエ”にかき消された」とある。
メキシコ系アメリカ人にとって特別な日。その同胞のラモン・カルデナスは勇敢に闘いながらも、日本人の絶対王者が最終的には圧倒した試合内容そのものが本場でも絶賛された。同サイトの別の記事では「ファイト・オブ・ザ・イヤー(年間最高試合賞)候補にもなる」とも記されてある。
亀海喜寛という男
ADVERTISEMENT
かつて、本場アメリカのボクシング界から愛された日本人ボクサーがいた。元日本スーパーライト級王者、元東洋太平洋ウェルター級王者の亀海喜寛(帝拳)である。2011年10月にラスベガスデビューを白星で飾ったのち、オスカー・デラホーヤのゴールデンボーイ・プロモーションズと日本人ボクサーで初めて契約。
HBOのボクシング中継番組「ワールドチャンピオンシップボクシング」(2018年に終了)にも登場し、中量級のスター、ミゲール・コットとのWBO世界スーパーウェルター級王座決定戦にまでたどり着いている。
アメリカでの戦績は3勝5敗2分け。成績だけ見れば平凡に映るが、日本人ボクサーがアメリカを主戦場にすることなど珍しかった時代に、それも中量級において果敢なファイトを買われて、本場で2ケタの試合数をこなした功績は大きい。
亀海は井上のファイトをどう見たか
現在はWOWOW「エキサイトマッチ」を筆頭に、Lemino、U-NEXTのボクシング中継番組の解説者として引っ張りダコで、トレーナーとしても東京・秋葉原でパーソナルのボクシング指導を行なっている。スペイン語で「鋼の心臓」を意味する「コラソン・デ・アセロ」の異名を誇る彼の目に、井上の試合はどのように映ったのか——。