- #1
- #2
ボクシングPRESSBACK NUMBER
井上尚弥に求められるのは「凄いライバルとの闘い」“東洋の激闘王”亀海喜寛の見果てぬアメリカンドリームと「強い選手とやりたい」井上への共感
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byNaoki Fukuda
posted2025/05/20 11:03
亀海喜寛とヘスス・ソト・カラスとの第1戦。この激闘が「ザ・リング」誌のファイト・オブ・ザ・イヤー候補となり、亀海はアメリカでの評価を上げた
「序盤にボディーを効かせて、被弾もなかった。テクニックも昔の(ディフェンスを軸とする)スタイルと激闘型になっていたスタイルの中間を目指してきて、これで確立できたなって思えた試合でもありました。
コンディションも最高の状態をつくれました。アメリカで試合をやるときは楽な減量にしたんです。できる限り普段と同じ状態でやったほうがいいんじゃないか、と。普段からより摂生して体脂肪を増やさず、減量開始も早めにする方法に切り替えたら、とても良かった。ひじを痛めて練習ができない時期はあったんですが、治療もうまくいって試合ではまったく問題なかった。キャリアのなかで一番のコンディション、実力でもあの試合が全盛期と言えます」
マッチメーカーにかけられた言葉
試合後、リングから降りて花道を引きあげる途中、契約するゴールデンボーイ・プロモーションズのマッチメーカーから呼び止められた。
ADVERTISEMENT
「カメガイ、次は(ミゲール・)コットだ」
ジョークだと決めつけた。世界ランキングに名を連ねているとはいえ、ビッグネームとの対戦チケットが舞い込んでくるとは思えなかったからだ。
しかしそれは現実となる。サウル“カネロ”アルバレスとのビッグマッチに敗れて以降、2年近く試合から離れていたコットと、それもWBO世界スーパーウェルター級王座決定戦とタイトルまでついてきた。勝てば“コットに勝った男”としてBサイドからAサイドに変わる。アメリカンドリームは目前だった。
井上への共感「強い選手とやりたい」
「別にタイトルは関係なかったです。アメリカで戦う理由は強いヤツに、ビッグネームに勝ちたいというだけ。もちろんそのうえでタイトルもついてくるならいいですけど、それが一番じゃない。本物に勝ってこそ、自分が信じてやってきたことが正解だったと納得できるわけですから。『強い選手とやりたい』と言い続けている井上チャンピオンを見ていても、きっとそうじゃないかなって感じますね」

