「こんな歓迎を受けるなんて…」井上尚弥ラスベガス興行は成功だったのか？ 米在住記者が感極まった“ある瞬間”「動員8474人は少なくない」 

「チケットの料金をもう少し下げていたら、もっと動員できていたのではないかと感じる。ただ、人数はどうあれ、井上の試合中の場内の興奮ぶりと熱気はとてつもないものがあった。最高レベルのボクシングは単なるスポーツではなく、エンターテインメントでもある。そういった意味で、スキルだけではなく、意志の強さと勇気を見せてくれた井上のベガス戦は紛れもなく成功だった。井上は安全策を取らないがゆえに、ラスベガスの多くの人々を魅了したんだ」

　元ESPNのスティーブ・キム記者のそんな言葉通り、井上対カルデナス戦は試合内容の評判もよく、実際にモンスターがダウンしたあとの波乱の時間帯はアリーナがほとんど非日常空間といっていい盛り上がりになった。同じ週末にカネロ、ガルシアらが凡戦を連発したあとで、最後まで攻め抜く井上の攻撃的な姿勢は高く評価された。

カルデナス（右）にダウンを喫するも、最後はTKO勝利で防衛に成功した井上尚弥　©︎Naoki Fukuda

　今後も待望論は出るのだろう。中でもアンジェロ・レオ、ラファエル・エスピノサのようなメキシコ系、メキシコ人選手と対戦すれば、1万2000人程度の集客も十分に可能。強さと魅力をアピールするだけではなく、今後のリピート登場へのさらなる布石にもなったのだ。だとすれば、2025年のシンコ・デ・マヨに実現したモンスターのラスベガス再進出は間違いなく成功だったのである。