「こんな歓迎を受けるなんて…」井上尚弥ラスベガス興行は成功だったのか？ 米在住記者が感極まった“ある瞬間”「動員8474人は少なくない」 

　メインイベントの開始前、両選手がリングインする直前、日本とアメリカの国歌をリングサイドで聴いた際には個人的に込み上げるものがあった。

　井上は「また新しい景色が見たい」という趣旨のことをこれまで何度か話してきたが、ラスベガスの大イベントのメインで日の丸映像が映し出され、アリーナに“君が代”が流れる景色は実際にこれまでに見たことがないものだった。本当にすごい時代が来たものであり、こんな場所に連れてきてくれたモンスターに感謝したいくらいである。

リングインする井上尚弥　©︎Hiroaki Finito Yamaguchi

2階席にはカーテン…興行は成功だった？

　唯一、8474人と発表された公式観客動員は想定よりも少ないと感じたファンは少なくなかったようだ。T-モバイルアリーナは最大で2万人を収容するベガス最大の屋内アリーナ。当日、1階席はほぼ満員だったが、2階席にはカーテンがかかり、使用されていなかった。

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　井上にとって4年ぶりの米国戦。対戦相手のカルデナスは著名選手とはいえないことから、T-モバイルアリーナはこの興行には大きすぎるのではないかという声は事前から出ていた。筆者もMGMグランド・ガーデン・アリーナかマンダレイベイ・イベンツセンターの方が適切と考えたことは否定しない。特に鮮やかな緑色の外観とともに大興行の拠点として親しまれてきたMGMを使用すれば、ビッグイベント感は高まったことだろう。

　興行を主催したトップランクには、日本のゴールデンウィーク、メキシコのシンコ・デ・マヨに合わせることでもっと多くの観客を集められるという目論みがあったに違いない。多少の読み違いがあったことは、ファイトウィーク期間中のボブ・アラム・プロモーターの言葉からも伝わってくる。

「日本からはもっと多くの日本人ファンが来ると思っていた。ホテル側からは“かなり多くの日本人ファンが来場している”と聞いているが、その数は予想ほどではなかった。理由は分からない。憶測はしたくない。 しかしその点以外、イノウエをみんなが温かく迎え入れてくれているよ」

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