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覚醒のワケは「バッキバキになったので、アハハ」…女子400m“17年ぶり日本記録超え”の衝撃 「陸上界の新ヒロイン」フロレス・アリエ(20歳)とは何者か
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別府響Hibiki Beppu
photograph byAFLO
posted2025/05/12 17:10
静岡国際陸上の女子400mで日本記録超えのレコードを叩き出した日体大3年のフロレス・アリエ。現在、日本国籍取得中の新星が秘めた可能性とは
本人は熱戦をこう振り返る。
「去年の関カレは精神的にも肉体的にも、途中でギブアップしそうな状態だったんですけど、今年は身体的には筋肉痛もなく、1本1本のレースをやり切れたんじゃないかなと思います。メンタル的には相変わらずきつかったんですけど(笑)」
その実力とインターナショナルなバックボーンに加え、レース後のコミカルなリアクションなども相まって、注目度は増すばかり。だが、本人はそれも重圧ではなくプラスに捉えているという。
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「やっぱり静岡国際以降、反響は大きくて『すごいね』と言ってもらえることも増えました。でも、それをプレッシャーにせずに、自分の力に変えようとは思っています。
もともと変に目標にこだわって『絶対、勝とう』と固まってしまわないように、高校時代からレース前は『帰ってくるだけ、ゴールするだけ』と自分に言い聞かせるようにしているんです。それは今でも続けていますね」
ペルーの現地紙でも…活躍が報じられた!?
今季の活躍は、両親と関わりの深いペルーでも現地紙で取り上げられたという。
「母方の祖母がペルーにいるんですけど、現地の新聞の写真を送ってくれて。静岡国際のタイムが400mのペルー記録になるみたいで……それで『何で日本国籍にしちゃうのか!』みたいな論調で新聞に載っていたみたいです(笑)」
もともとフロレスは中学時代から全国大会出場経験もあり、静岡・東海大翔洋高校2年時のインターハイでは400mで6位入賞も果たしている。だが、その後は長らくスランプに苦しんだ。3年時にはインターハイ出場を逃すと、大学入学後もメイン種目の400mで60秒すら切れない時期もあるなど、なかなか浮上のきっかけをつかめずにいた。


