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メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
米老舗メディアも「A+の評価に値する」と絶賛も…ドジャース・佐々木朗希の“魔球”が輝く条件は?「NPBでは見られなかった制球の乱れが…」
text by

一野洋Hiroshi Ichino
photograph byJIJI PRESS
posted2025/05/02 06:01
他の投手と比べても図抜けた特徴を持つロサンゼルス・ドジャースの佐々木朗希のスプリット。その「魔球」をピッチングに活かすことはできるか
だが、魔球には代償がある。制御不能なら、ただの“扱いにくいボール”に過ぎないのだ。
実際、デビュー戦で佐々木はスプリットを15球投じたものの、打者にスイングされたのはわずか2球。残りは見逃され、捕手がミットを大きくズラして捕球していた。
ストライクが取れないスプリットは、決め球ではない。カウントを悪くし、球数が増え、テンポを崩す。そうしてリズムを失えば、制球難に拍車がかかるのは自然の流れだ。
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米メディア『FOX Sports』は「NPBでは見られなかった制球の乱れがMLBで顕著」、米メディア『CBS Sports』も「(日本時代から)四球率が倍増した」と警鐘を鳴らしていた。ドジャースのデーブ・ロバーツ監督もメジャーデビュー戦前には「彼自身もスプリットがどこに落ちるか分かっていない」と述べている。
昨季の新人王と比べてみると…?
佐々木と比較して、同世代で球速も近いにもかかわらず、すでに大きな結果を出しているのがパイレーツの22歳、ポール・スキーンズだ。2023年のドラフト全体1位で、昨季のナ・リーグ新人王。平均98マイル(約158キロ)のフォーシームは、平均スピンレートが2300rpm。空振り率は26.3%。一方で、佐々木の平均球速は96.4マイル(約155キロ)、平均スピンレートは2100rpm弱で、空振り率は8.9%だ。
同じ「速い球」でも中身が違えば結果も変わる。何よりスキーンズの四球率(総与四球/対戦打者)はメジャー上位4%に入る2.8%。佐々木はメジャー下位4%に入る16.4%と数字が示すように、外面的な能力だけでない「コマンド」の差はとてつもなく大きい。

